定年までシームレスな賃金体系を構築し年齢による一律的な見直しを一切廃止年延長によって延びた5年間において、一人ひとりの活性化を目ざし、基幹職のマネージメント力の強化を今後も進めていきます。事業拡大、事業の発展に向け挑戦的テーマが目白押しのなか、にない手である人材が、質、量ともに不足しています。人の確保・育成をはじめとした人材力強化が喫緊の課題であり、採用力の強化を図るのはもちろんですが、いま、社内にいる人材の能力を最大限に引き出して、活かすことが不可欠です。また、社員の年齢構成で見ても、現在60歳以上が全体の11%のところ、2033年には全体の5分の1、20%強になることが見込まれており、ベテラン層の活性化が必須です。高い帰属意識を持って挑戦に向けた熱意や行動力があるベテランの豊富な知識、経験を従来以上に活かすためには、定年延長は必須であると、今回の定年延長にふみ切りました。続いて、定年制度および再雇用制度の変遷について説明します。当社では、1979年に定年を56歳から60歳に延長しています。60歳定年が努力義務化されたのが1986年ですから、それよりもかなり早い段階で60歳定年を実現しました。1991(平成3)年には60歳定年後の再雇用制度を導入しました。その際、63歳まで希望者全員の再雇用の仕組みをつくりました。2001年に希望者全員の再雇用期間を65歳に延長しています。そして、2021年に再雇用期間をさらに拡大し、70歳まで希望者全員再雇用の仕組みを導入しました。さらに2024年に、60歳から65歳に定年を延長しました。これまで定年が60歳でしたので、職能資格制度の適用も60歳でしたが、5年延ばすことによって資格等級を継続適用としました。また、評価の仕組みも60歳以降65歳まで、それまでの59歳以下と同じ評価の仕組みを適用し、60歳以降も昇格・昇給が可能な仕組みにしました。賃金体系については、役職者は56歳で役職離任し賃金を見直す仕組み、また一般社員についても56歳で再評価し、賃金を見直していましたが、これらを廃止しました。年齢によって一律的に賃金ダウンをする仕組みを廃止し、60歳到達時においても賃金の見直しを行わず、65歳までシームレスに59歳までの賃金の仕組みを継続する体系に見直しました。退職金についても、確定拠出年金の退職金ポイントを65歳まで継続的に付与する仕組みとしています。今回の制度変更は、ベテラン層の意欲と納得性の向上、能力の最大限の発揮、加えてすべての世代の能力発揮に目的の主眼をおき、また、定年延長を実施する他企業と比較して優位性のある水準の実現を目ざしました。当社では従来から60歳定年後の再雇用率が約90%と高い水準にありましたが、より帰属意識を持って意欲的に働いてもらうために、定年を延長し、65歳まで社員の身分で活躍できる仕組みにあらためました。65歳まで意欲的に活躍し続けてもらうために、年齢による役職離任は行いません。ただし、組織の新陳代謝、あるいは若返りを維持するため、年齢とは関係なく、各人・各仕事に応じて、役職離任をする仕組みを残しています。般社員については、いったんダウンした賃金をこの2024年4月に100%に引き上げました。それからすでに60歳を超えている再雇用者については、再雇用者の報酬水準と今回の新しい報酬水準とのギャップを埋めるため、賞与評価によって思い切った処遇ができる仕組みを導入しました。加えて、若手・中堅層を含むあらゆる層の能力成長や、成果により報いることができるように昇格・昇給評価の運用を見直しています。すべての人が自分の成長にオーナーシップを持って挑戦し、育つ環境づくりを行っていくためにさまざまな施策を新たに検討し展開していく予定です。また、経過措置として、59歳までの基幹職・一今後、年齢にかかわらず、多様な人が活躍し、2025.226
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