エルダー2025年2月号
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ンである「マネージャー」に加え、1人でも会社に貢献できる役割を持っているポジションである「エキスパート」があり、マネージャーと同列に位置づけています。それぞれM1〜M4(EX1〜EX4)の四つの階層に分かれており、M1は課クラス、M2は部クラス、M3はセンタークラスのように、組織の階層に紐づいています。「ジョブ型」というと、大体イスに値づけをしていくイメージですから、役職者がメインになって、部長や課長ではないかぎり、重用されないと考えられがちですが、マネージャーとエキスパートは完全に並列に並んでいます。また、「アソシエイト・エキスパート」があります。これが「リコー式ジョブ型」とあえて呼んでいる特徴の一つです。アソシエイト・エキスパートは基本的には管理職扱いで、テーマリーダーとして、担当領域での目標達成をにない、管理職を外れた際の、待機的なポジションとして設けています。3年の年限の間に、あらためてマネージャーあるいはエキスパートにチャレンジしてもらう意図を込めたグレードとなっています。もう一つのリコー式の特徴として、一般層もジョブ型にしました。日本では一般的に実力主義が強い管理職層にジョブ型を導入していますが、当社の場合は考え方の一貫性を重視した結果です。一般層のポイントは、グレードをシンプルに三段階にした点です。従前の資格等級は非常に細かい段階になっており、順番に上がると途中に昇格審査があるなど、とても時間がかかっていました。現在の制度では「スタッフ」という名称でS1〜3に分かれていますが、S2からでもS3からでも、マネージャーあるいはエキスパートに登用したら、昇格試験を経ず、管理職扱いとなり、優秀人材の管理職ポジションへの早期抜擢を行いやすい構造となっています。ポジションのオン・オフについては、各組織内で必ず合議でさまざまな要素において決定し、ポジションから外す場合は現任者の状態を見ること、次の新任の任用の際には、力量の多面的な評価をして入れ替えを行います。ジョブ型JD(ジョブディスクリプション)については、マネージャー、エキスパート、すべてのポジションで作成し、すべて公開しています。なお、格づけは変更しましたが、報酬は基本的に大きく変えていません。ジョブ型の現状としてはうまく進んでいると感じています。課題はポジションオフの本人の意識の変え方だと思います。役職定年制は40年近く運用しており、ベテラン社員が最後の期間をどう会社に貢献するかと、自ら考えるようになり、役職を外れた後についてもうまく回りつつあったので、特に問題にしていなかったところはあります。今回、このジョブ型導入の議論のなかで、若手の活躍や登用の話と同時に、ベテランの活躍をどう考えるかの議論になりました。やはり年齢に関係なく実力に応じた形が望ましいとなり、マネージャーとエキスパートを対象に役職定年を廃止しました。ただ、若手抜擢を課題としているので、レビューポイントとして、任用、それからポストオフの際に、従来の57歳を確認ポイントに設定しています。とし、報酬をいっせいに落としていました。しかし、それまでのポジション任用を継続する人が出てきて、必要があれば現役続行とし、従来と同じポジションに就いています。当然、報酬もそのままです。代わりに、評価も現役社員と同じグルーピングで評価するという形で、そういう意味では、選択的に一部役職定年を延長しているような形になっています。定年後については、ほぼ全員を非管理職扱い2025.230

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