エルダー2025年2月号
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高齢従業員が安心・安全に働ける職場環境を整備していくうえでは、加齢による身体機能の変化などによる労働災害の発生や健康上のリスクを無視することはできません。 そこで本連載では、加齢により身体機能がどう変化し、どんなリスクが生じるのか、 毎回テーマを定め、専門家に解説していただきます。第3回のテーマは「目の健康」です。12ひよ  最近、本を読むのがつらくなってきていませんか。新聞やスマートフォン画面で小さな文字を追うとき、夜間に運転するとき、「見えにくさ」を感じることはないでしょうか。ちょっとした不調を「年のせいだろう」と放置していると、視力を失う原因となる目の病気が悪化し、物を見る能力が低下する可能性があります。血圧や血糖値、コレステロールなどの数値には敏感なのに、「目の老化」というとピンとこない、理解できていない、という人はとても多いです。目の健康が後回しにされがちである理由として「年のせいだから仕方ない」となんとなく考えている人が多い点があげられます。また、「眼科は本当に困った症状が出たときに受診するところ」という考えが一般的である点もそうでしょう。しかし、視力が失われる要因となる病気であっても、早期に適切な治療を行えば、視力を維持することが可能になってきています。とにかく早期に問題を発見し、治療に取りかかることが重要なのです。な検査は、眼球の後面にある網膜を観察する「眼底検査」です。眼底写真を撮影したり、眼科で瞳を開いた状態での検査で行われます。われわれ眼科医はその重要性をずっと訴えてきましたが、40歳以上の国民が対象となる特定健康診査(いわゆるメタボ健診)で眼底検査を受けられるのは、高血圧または高血糖があり、医師が必要と認めた人にかぎられています。その結果、受診者の18%しか眼底検査を受けることができていません。「目は全身の窓」といわれるように、目の血管は全身の健康状態を反映するため、目を観察することによって動脈硬化や糖尿病の悪化に気づくこともできます。目の病気の早期発見につながるもっとも重要第3回労加働齢衛に生よにる〝お目ける〟の目の変重化要(性アイフレイル)と加齢 によるららつかかししむねね先先任任准准教教授授順順天天堂堂大大学学眼眼科科学学教教室室2025.246眼眼底底検検査査をを受受けけよよううははじじめめにに平平ひ塚塚つ義義よ宗宗む身身体体機機能能のの変変化化とと安安全全・・健健康康対対策策

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