エルダー2025年2月号
56/68

□□□□櫻□井□豊□さん(71歳)は現在、吉田町の地場産業□□本のりばそ□第3回「細ほ幅は織お物も」のオールマイティ地場産業を牽引する会社で35年定年後も年齢上限なく雇用熟練社員の活躍が社業を支える地域・社会を支える地・社会を支える高齢者高齢者のの底力底力「細幅織物業者を集めて会社をつくるといった例はなく、本橋テープが初めてでした。当時は3交替制で、機械を自動で動かしての24時間操業。忙しかったですね。商品がたくさんあるので、お客さんがどんどん集まってきて注文も増え、会社はずいぶん大きくなりました」と、櫻井さんはふり返る。一方で、地域の細幅織物業全体は、生産拠点の海外シフトなどにともない衰退傾向。最盛期には、吉田町とその周辺地域で計150社以上あったメーカーも、いまでは15社となり、10分の1まで減少した。使ったオリジナルバッグの商品開発や独自のアウトドアブランドの展開など、従来の製品に付加価値をつける新分野にも挑戦。好調を保っており、地場産業の牽引役として地域の期待を集めている。をはじめとするベテラン社員だ。同社は2013年度の経営計画書で、社員を「人財」と位置づけ、ダイバーシティ経営を進める方針を打ち出し、女性や高齢者の積極雇用・登用を続けている。で、うち60代が3人、70代が5人。最高年齢者は76歳となっている。本橋テープが地元業者の集約で発展を遂げたそんななか、本橋テープでは、自社テープをその本橋テープを支えているのが、櫻井さん2024(令和6)年9月現在の社員数は49人静岡県の中部に位置する吉□田□町□。東は一級河川の大井川、南は駿河湾に面した、人口約2万9000人、面積約20 ㎢の小さな町だ。である「細幅織物」の専門メーカー、本橋テープ株式会社の営業グループで、出荷関連の業務全般を担当している。細幅織物一筋で、同社が設立(1986〈昭和61〉年)されて間もない、1989(平成元)年の入社から35年。「製品の売りも買いもすべてわかるオールマイティな存在」として活躍中だ。細幅織物とは、主として綿糸、絹糸、麻糸、レーヨン、合成繊維糸などで製造される幅13 ㎝未満の織物(テープ)のこと。本橋テープは、ナイロンやポリプロピレンの合成繊維糸による、幅0・5〜10 ㎝の製織を得意としており、アパレル分野では、カバンのショルダーベルトなど革や天然繊維に代わる素材として、産業分野でも金属などに代わる素材として、多種多様な用途で活用されている。櫻井さんはもともと、細幅織物業を個人で経営。関連の組合などを通じて、本橋テープの先代社長と知り合い、同社の仕事を引き受けるようになったそうだ。その後、櫻井さんを含む、地域の細幅織物業者計4人の加盟により、本橋テープが「静岡繊維工業株式会社」を設立したのがきっかけで、同社に入社することになった。2025.254 少子高齢化や都心部への人口集中などにより、労働力人口の減少が社会課題となるな 少子高齢化や都心部への人口集中などにより、労働力人口の減少が社会課題となるなか、長い職業人生のなかでつちかってきた知識や技術、経験を活かし、多くの高齢者がか、長い職業人生のなかでつちかってきた知識や技術、経験を活かし、多くの高齢者が地域・社会の支え手として活躍しています。そこで本連載では、事業を通じて地域や社地域・社会の支え手として活躍しています。そこで本連載では、事業を通じて地域や社会への貢献に取り組む企業や団体、そこで働く高齢者の方々をご紹介していきます。会への貢献に取り組む企業や団体、そこで働く高齢者の方々をご紹介していきます。橋テープ株式会社(静岡県)もと はしThe Strength of the ElderlyThe Strength of the Elderly

元のページ  ../index.html#56

このブックを見る