エルダー2025年2月号
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② 事業場における労働災害防止のための具体・ 危害防止基準□機械、作業、環境等による・ 安全衛生教育□雇入れ時、危険有害業務就今回は、労働安全衛生法について取り上げます。労働安全衛生法は労働基準法から派生本法の目的は、「労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」(第1条)とされています。ここでいう労働災害とは、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること」(第2条)をさします。背景として、いわゆる高度経済成長期の急速な事業や生産量の拡大等により、労働災害が多発し、労働者が死亡にいたるケースが多々ありました。そこで、労働災害の防止のいっそうの強化を図るために、労働基準法から分離して、1972(昭和47)年に労働安全衛生法が制定されました。本法に記載されているのは、労働災害防止に関する〝最低基準〟と定義されており、この点も労働条件の最低基準について定めた労働基準法との関連性がみられます。本法では、労働災害の防止という目的を達成労働安全衛生法の概要それでは、本法にはどのような内容が定めら理者、産業医等の選任、安全委員会、衛生委員会等の設置(第3章)的措置危険に対する措置の実施(第5章)するために、事業者(事業を行う者で、労働者を使用するもの)と労働者(労働基準法第9条に規定する労働者※1)の両者に対して責務を定めている点が特徴的です。事業者には、法に定める最低基準を守ることに加え、職場における労働者の安全と健康を確保することが求められています。また、労働者には、労働災害を防止するため必要な事項の遵守や、労働災害の防止に関する措置に協力するように努めることが求められているため、事業者・労働者ともに内容を理解しておくべき法律といえます。れているか概要についてみていきます※2。①事業場における安全衛生管理体制の確立 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。「労働安全衛生法」2025.256株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之  ※1  本連載第52回(2024年12月号)に労働基準法で定める労働者の範囲に関する説明があります。 https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202412/index.html#page=50 ➡※2  厚生労働省の安全・衛生に関するサイト (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/index.html)の「労働安全衛生法の概要」から筆者一部加筆第54回■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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