企業にもシニア社員にも求められることは「覚悟」令和6年度「『ジョブ型』人事から考える〜シニア人材の戦力化」生涯現役社会の実現に向けたシンポジウムまううち7 基調講演シニア社員の戦力化は「ジョブ型」人事で本日は、「シニア社員の人事はジョブ型が合理的でふさわしい」ということについてお話ししたいと思います。日本の労働市場をみると、働く人のおよそ5人に1人は60歳以上の高齢者という状況となっています。これは日本の企業の平均的な状況を示しているので、例えば社員1000人の会社だったら200人がシニア社員(60歳以上)ということになるので、企業にとってシニア社員は「大きな社員集団」化していることになります。これだけ大きな社員集団になってくると、シニア社員にがんばってもらわないと経営はたいへんですし、活力ある日本経済のためにも、シニア社員に活躍してもらうことは不可欠な状況にあるというのが労働市場の概況です。それをふまえて人事管理を考える必要があるのですが、企業にシニア社員を活かす気概がないと、人事管理は形骸化してしまいます。まずは企業が「シニア社員の戦力化は不可欠」という覚悟を持つことが非常に重要だと思います。一方、シニア社員にとっても同じことがいえます。シニア社員は5人に1人の大きな社員集団化しているので、企業経営からすれば、シニア社員が引退気分で働くことは許されません。シニア社員もしっかり戦力として働く覚悟が必要です。したがって、人事管理をどうするかの前に、企業もシニア社員も「戦力として活用する」、「戦力として働く」覚悟を持つことが重要になります。るうえ、働く高齢者が多い国なので、シニア社員が活躍できる人事管理をつくることは、世界にモデルを示すことにつながります。人事制度の設計・運用を行うみなさんには、この気概を持って取り組んでいただきたいと考えています。しょう。現状は60歳定年制をとり、60歳以降は再雇用とする企業が大半です。そこで、ここでは「60歳定年+再雇用」を前提に人事管理を考えてみます。まずは、人事管理の現状を把握しておく必要があります。活用の面をみると、現職の継続が多く、労働時間ではフルタイムで働く人が多いです。ただし「現職の継続」といっても職責は落とすのが一般的です。さらに働き方については、例えば、転勤なし、長期出張な日本は先進国のなかで最も高齢化が進んでいそれでは、具体的な制度の話をしていきま学習院大学名誉教授今い野の浩こ一い郎ろ2024年10月10日開催エルダー★ 「令和6年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」基調講演は、JEEDのYouTube公式チャンネルでアーカイブ配信しています。 こちらから、ご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=SjCefUqFlsg特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜
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