エルダー2025年3月号
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エルダー9特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜した働き手のキャリア意識の現状をふまえて、お話ししていきたいと思います。ミドルシニアの活躍に向けた施策の動向としては、年齢にかかわらずスキルアップ、リスキリングの機会の提供、そのほか長く働く人が増えていくことから、仕事内容、働きぶりに合わせた賃金体系の整備の必要、あるいは副業・兼業の解禁などが、ここ数年指摘されており、その機会を提供していくことが必要です。そして、65歳、あるいは70歳まで、いかに長く働ける環境を整備していくかが重要だといわれています。また、高齢者を含めICTを活用したテレワークの推進も求められます。続いて「リスキリング」についてお話しします。従業員の自己啓発の実施状況はどうかというと、まず年齢が上がるにつれて、自己啓発をしている人はどんどん減っていきます。自己啓発をしている人の割合を見てみると、20〜29歳が4割、50〜59歳は3割弱、60歳以上は2割ほどです。自己啓発を実施した時間は、20・30代と比べるとややミドルシニアの方が少ないのですが、全体を見ても、平均延べ時間は40時間程度なので、そもそもあまり時間をかけていないことがわかります。さらに、自己啓発の実施方法に目を向けてみプに悩む方が多いということを示しているかと思います。三つめの特徴は、経営層、上司の相談相手、教育係、あるいはアドバイザーのような仕事に就いている人のほうが、社員の補助、応援といった仕事をしている人よりもモチベーションが下がりづらいという結果が出ています。これは、若手社員と同じ立場で仕事をするよりも、モチベーションが下がりづらいということを表しているのだと思います。ただし、今後、ミドルシニアが企業のなかで増えていくことを考えると、その多くをアドバイザーや教育係に配置することは、組織としては対応しづらいところですので、今後課題になっていくのではないかと思います。キャリア自律度について見てみると、男性も女性も40代・50代は非常に低くなっています。年齢が高くなるにつれてキャリア自律度が低くなっており、ミドルシニアのキャリア自律をどう高めていくかが一つの課題であると思います。ミドルシニアの活躍施策の現状次に、二つめのテーマである「ミドルシニアの活躍施策の現状」について、これまでお話し女性の職業生活への満足度に目を向けると、特にミドルシニアの女性に関しては、「興味や好奇心がかき立てられている」と感じている方が約3割と低めです。先ほども、男性と同様にミドルシニアの女性は、仕事に対する意欲が非常に高いというお話をしましたが、おもしろいと感じて仕事をしている方は少ないといえるかもしれません。一方、私生活への満足度を見るとおよそ半数が満足しており、男性よりは私生活が充実していると感じている方が多いといえます。ただ、職業生活に満足している方は約4割で、私生活に比べると多くはないということになります。役職定年制度と働く意欲・キャリア意識の関係さて、大企業の多くが役職定年制度を設けており、特にこの制度が多くの働くミドルシニアの意欲を下げているというデータがあります。役職を降りた経験のある方の約6割弱が、会社に尽くそうとする意欲が下がっていることが明らかになっています。これが特徴の一つめになります。二つめの特徴として、役職が高い人ほど、役職を降りたあとのモチベーションが下がっています。どうしても役職の高い方ほど、そのギャッ

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