エルダー2025年3月号
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2025.310各個人のスキルをきちんと見える化をしていく、あるいはもう少し参加をしやすい副業・兼業の場を、企業の側も提供していかなくてならないと感じています。まとめ総括に入りたいと思います。ミドルシニアに対する学びの機会の提供について、ミドルシニアの人ほど学ぶ時間が少なく、学んでいる人も少ないので、その量を増やしていく必要があると思います。つまり、「量」が一つめのポイントです。二つめは「質」です。いままでのスキルの向上に加えて、社会のニーズに合わせた学びの支援が必要だと思います。企業側、従業員側、それぞれのギャップがあるとお話をしましたが、質を向上させていくことが必要になると思います。三つめは、ミドルシニアに対する、「社会の活躍機会を増やしていく」ことです。「中小企業にプロボノに行くには、自分のスキルは足りない」と考えている方であったとしても、社会にはさまざまな活躍の場があるので、選択肢を増やしてその機会を提供していくことが必要だろうと思います。啓発は一人で学ぶのも重要だと思いますが、学んだ知識をどうアウトプットしていくかが今後は重要になり、そのアウトプットの場として副業・兼業が非常に重要な意味を持つと思います。では、実際に従業員の副業・兼業に関する意識はどうなっているでしょうか。大企業ほど副業・兼業を認めているなかで、「手をあげるのは若い人が多い」という話をよく聞きます。それはデータでも明らかとなっており、40代・50代の副業・兼業の実施率は、ほかの年代に比べて少ないということがわかっています。副業を行っていない理由としては、「自分の希望やスキルに合っておらず応募を控えてしまう」という人が多くなっています。ただし、特に最近では、副業・兼業の形が変わり、リモートワークで知見を提供するといったスタイルの仕事も出てきていますし、副業・兼業そのものが、多様化してきているので、企業側も多様な副業を認めていく、あるいは情報提供をしていくことが必要になると考えています。また、従業員の方に、なぜ副業・兼業をしないのかとお話を聞くと、「自分が何に向いているかわからない」という声や、「中小企業のプロボノのような場に行っても、自分がそこまで高いスキルを持っていないのでむずかしいのではないか」という答えが返ってきます。よって、ると、圧倒的に多いのがeラーニングでの学習、次いでラジオ・テレビによる学習であり、個人で勉強をするインプット型が非常に多いといえます。能力・スキル向上に向けた従業員と企業側の認識におけるギャップについて見てみると、従業員が今後、向上させたい能力・スキルとしては、ITを使いこなす能力、あるいは高度な専門的な知識・スキルが非常に多くなっています。一方、企業側が重要と考える能力・スキルに目を向けると、じつはIT、あるいは高い専門性を重要だと考えている企業は少なく、チームワーク・周囲との協働力、あるいは職種に特有の実践的なスキルを重要だととらえていることがわかります。従業員が向上させたい能力・スキルと企業側の認識には、大きなギャップがあり、企業側が従業員の声にきちんと応えきれていないといえます。続いて、企業側の副業・兼業の取組み状況を紹介します。副業・兼業を解禁しているのは、従業員規模が1000〜5000人未満の企業では5割ほど、5000人以上では6・5割ほどとなっており、じつは大企業ではわりと多いことがわかります。特に自律的なキャリア形成支援に取り組む企業ほど、副業・兼業に積極的です。自己

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