エルダー17特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜ミドルシニアのリスキリング施策に至る背景小島 パネリストのみなさんからは、現在の取組みについて紹介していただきました。ここからは、ミドルシニアのリスキリング施策に至る背景についてお聞きしていきたいと思います。 最初に、アズビル株式会社の荻野さんからお願いします。荻野 当社で大きなリスキリングの起点となったのは、環境変化でした。大規模な人員の配置転換があり、異なる領域の事業、例えばビルの空調からプラントの制御へと大きく仕事の内容が変わる人がおり、これまでの知識や経験だけでは、日常の業務が立ち行かなくなったわけです。アズビル・アカデミーの最初の大きな仕事は、この配置転換となった方たちに対してのリスキリングだったと思います。小島 ありがとうございます。では続いて、株式会社明治の戸井さん、お願いします。戸井 先ほどお話ししたシミュレーションにおいて、60歳以上のゾーンが約4倍に増えるのであれば、そのゾーンが会社を支える社員としてどれだけ活躍してくれるかを考えた際に、危機感がありました。一方、ここ数年は従業員のキャリア自律を重要視しているので、こうした背景のもと、リスキリングの施策に取り組んでいます。小島 ありがとうございます。株式会社社会人材コミュニケーションズの宮島さんは、実際に数多くの企業、あるいは塾生である個人の方と接しておられますが、双方の視点から見たリスキリミドルシニアのキャリア再構築~リスキリングの重要性と企業の戦略パネルディスカッションング施策について、お考えをお聞かせください。宮島 「リスキリングの必要性を感じないから実施しない」ということもあると思います。実際には65歳を超えると、さらに勉強の投資が増えるというデータもあります。人生は長いと気づき始めるのでしょう。ただ問題は、現役のときのリスキリングの必要性です。自分の役割を定義したら、それに対して学習が足りないはずなのです。知識が古いこともあり得ます。ですから、自身の能力を明確に理解する機会と、自身で役割を考える場を設けて、会社からも役割を明確にする。リスキリングの必要性を感じるところから取り組まないといけないと感じています。小島 宮島さんのお話のなかでも、企業側の施策の重要性が従業員の側にあまり伝わっていないというご指摘がありました。それをきちんと伝えて令和6年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム「ミドルシニアのキャリア再構築~リスキリングの重要性と企業の戦略」11月28日開催2024年
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