エルダー2025年3月号
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2025.326わが国では少子高齢化が加速し、労働力不足が急速に進むことが予想されている。2021(令和3)年には70歳までの就業確保措置を講じることが企業の努力義務となり、鞄産業においても、高い能力や豊富な経験を持つ高齢者の活用が、今後の企業経営や業界発展にとって大きな課題となっている。そこで、一般社団法人日本鞄協会では、高齢者が持つ熟練した技術や豊富なノウハウを未来の技術者たちに受け継いでいくことを目的に、技術認定試験や創作技術コンクールの事業を継続して実施してきた。また、2023年9月には、鞄産業に関連する企業を対象とした大規模な実態調査を初めて実施し、高齢者の雇用状況と業界全体の実態を明らかにするとともに、高齢者の活躍に向けて企業が抱える課題と解決策を取りまとめ、本ガイドブックを作成した。本ガイドブックでは、高齢者の活躍事例や、高齢者の活躍に向けた課題の解決策を数多く掲載しており、これらの事例から鞄産業にかかわる企業が今後、高齢者の雇用と活躍を推進するためのアイデアを得ることができる。また、鞄産業全体の活性化につながるような人材の活躍・活用事例の共有にも有効である。「第Ⅰ章 【概要】 鞄産業における高齢従業員の活躍に向けて」では、本事業を通じて実施したアンケート調査をもとに、業界における高齢従業員の活躍状況を紹介。あわせて、鞄産業における高齢従業員の活躍に向けた課題と解決策を一覧表に整理しており、本書のあらましとポイントが把握できる章となっている「第Ⅱ章 鞄産業における高齢者雇用・活躍の背景と実態」では、調査をもとに、定年・継続雇用制度の状況をグラフを用いて紹介している。そしてヒアリング調査の結果をふまえ、「高齢期でも活躍しやすい」、「高齢の転職者も活躍しやすい」、「短時間・短日数勤務でも働き続けることができる」など、鞄産業は高齢者が長く活躍しやすい産業と特徴づけている。「第Ⅲ章 企業が抱える経営課題と高齢従業員の活躍パターン」では、「コスト上昇」や「人件費の増大」といった経営課題について詳解するとともに、その解決・緩和のための高齢従業員の活用・活躍パターンを紹介している。同章では、企業の声や具体的な活躍事例が、「製造」、「卸」、「材料」といった事業ごとに区分けして掲載されており、参考にしやすい。「第Ⅳ章 高齢従業員の活躍に向けた課題と解決策」では、高齢従業員を積極的に雇用する際の「肉体的、体力的な衰えがある」、「IT化への対応」、「意欲の減退」という三つの課題について、一覧表に整理して解決策を提示しており、自社の対応を検討する際に状況に合わせて参考にすることができる。2024年版 鞄産業における高齢者雇用推進ガイドブック産業別高齢者雇用推進ガイドライン1一般社団法人 日本鞄協会住 所〒111―0052 東京都台東区柳橋2―16―14ハンドバッグ会館内TEL03―3862―3516 H Phttp://www.kaban.or.jp/

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