2025.338加齢による歯加齢による歯··口腔への影響口腔への影響11990(平成2)年の日本人の平均寿命は男性75・9歳、女性81・9歳で、2023(令和5)年の日本人の平均寿命は男性81・1歳、女性87・1歳となりました※。つまりこの34年で男女とも約5年延伸し、高齢化率も12・1%から29・3%と約2・7倍に急伸したことになります。歯科においても80歳で20本の自分の歯を有する者(8020達成者)は1993年の10・9%から2022年には51・6%と5倍近くに増加しています。平均寿命に相当する85歳以上の高齢者においても、20本以上自分の歯を有する者の割合は、2011(平成23)年17・0%、2016年25・7%、2022年38・1%と急増しており、また、むし歯や歯周病などで歯を失っても、歯科インプラント(人工の歯)で補われることも多くなってきています。つまり日本の高齢者は相当数の歯を有したまま、生涯をまっとうできる時代になりました(図表1)。2022年に行われた歯科疾患実態調査(厚生労働省)でむし歯をもつ者(治療した歯を含む)の割合は、40歳~69歳までは97%を超えて※ 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」(%)8020達成者85歳以上01030402060501993年10.92.815.34.524.138.351.251.625.738.18.317.01999年2005年2011年2016年2022年図表1 20本以上自分の歯を有する者の割合の推移出典:厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」(2023年) 高齢従業員が安心・安全に働ける職場環境を整備していくうえでは、加齢による身体機能の変化などによる労働災害の発生や健康上のリスクを無視することはできません。 そこで本連載では、加齢により身体機能がどう変化し、どんなリスクが生じるのか、 毎回テーマを定め、専門家に解説していただきます。第4回のテーマは「歯・口腔の健康」です。身体機能身体機能のの変化変化安全・健康対策安全・健康対策とと北海道大学北海道大学 大学院歯学研究院大学院歯学研究院 口腔健康科学分野口腔健康科学分野 高齢者歯科学高齢者歯科学教室教室 准教授准教授 渡渡わたわた邊邊なべなべ 裕裕ゆたかゆたか加齢による“歯・口腔”への影響と対策のポイント第4回加齢 による
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