エルダー41口や喉の渇きが気になるようであれば、医師・歯科医師に相談しましょう。②口腔カンジダ症カンジダ菌(カビの一種)の感染によって生じる感染症です。高齢者や免疫力が低下した者など、感染防御機能の低下にともない引き起こされます。加齢、ステロイドや免疫抑制剤の使用、がん、抗がん剤による治療、唾液量低下、義歯の清掃不良なども誘因となります。白い偽膜が粘膜表面に付着するもの(写真3)、口の粘膜が萎縮したり、赤くなったりするもの、口の粘膜が硬く肥厚するもの、ヒリヒリと痛むものなどさまざまな症状があります。治療は口腔清掃の徹底と抗真菌薬を使用します。放置すると治りにくく、くり返すようになるので、早期に治療する必要があります。ことができないため、食事の楽しさが大きく損なわれることになります。歯を失わないよう、口の状態にあわせた毎日の口腔清掃と定期的な歯科医院でのチェックを継続していきましょう。話す機能は肺からの呼気で声帯を振動させて音をつくり、その音が口や鼻へ抜けるときに、下顎の開閉や口唇、舌そして軟口蓋の形を変えることでさまざまな音をつくり出す機能です。高齢期になると、話す機会が激減し、意欲の低下、口の内外の筋肉や神経の機能の低下により、話す機能は低下します。滑舌が悪くなり、何度も聞き返されたりすると、話すことがいやになって、話す機会が減り、さらに話す機能が低下するという悪循環が生じます。また、話すことは、相手に配慮しながら、思考をめぐらせ、記憶を呼び覚まし、次に何を話すか考えるなど、とても頭を使う機能であり、認知機能の維持にもつながります。歯並びが悪かったり、口臭が気になるなどで、話すことを避けたり、あまり口を動かさずに、ぼそぼそと話したりしないよう、毎日の生活のなかで、積極的に話すこと、口をしっかり動かすことを意識することが大切です。高齢期になると脳の老化により感情を表す機能も低下します。これは歯の喪失や口の周りの筋肉や皮膚の老化により動きが乏しくなるからです。できるだけ人と会う機会をつくって楽しい会話を楽しむようにしましょう。口の機能の低下は、食事や体調に影響を与え、快適な生活を損なうおそれがあります。歯科で、むし歯や歯周病に対する治療を受けるとともに、口の機能の評価とトレーニングを受け、食事や生活の維持改善を続けていくことが重要です。(5)口腔粘膜疾患①口腔乾燥症口腔乾燥症とは自覚的な口腔乾燥感または他覚的な口腔乾燥所見(唾液の量的減少と唾液の質的変化を含む)を認める症候と定義されており、「唾液分泌量の減少あるいは分泌唾液の質の変化があるもの」と「唾液分泌量の減少と分泌唾液の質的変化のいずれもないもの」に分類されます。前者には、シェーグレン症候群(自己免疫疾患)、唾液腺疾患、精神的ストレスや薬剤の副作用などによるものが、後者には口呼吸や心因性などによるものが含まれます。原因に応じて、薬物療法、口腔保湿剤や唾液腺マッサージなどの対症療法を行います。糖尿病、加齢、放射線治療、口呼吸なども原因となり口や喉が乾く、むし歯の多発、噛んだり飲んだりすることが困難、食塊形成不良(食べ物が口の中でまとまらず、なかなか飲み込めないなど)、味覚異常などが生じ、食事や会話など口の機能を障害します。※写真提供:北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野高齢者歯科学教室写真3 口腔カンジダ症白い偽膜白い偽膜身体機能身体機能のの変化変化安全・健康対策安全・健康対策とと加齢 による
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