裏づけられていることが求められています。近年では、この要件について、解雇事由が将来にわたって継続するものと予測されること(将来予測の原則)および最終的な手段として行使されること(最終手段の原則)の二つの要素を考慮して判断すべきであるという考え方もあります。したがって、試用期間満了による場合であっても、改善の機会を与えることや好転の見込みの有無を判断しなければなりません。次に、②の社会通念上の相当性については、本人の反省状況、これまでの勤務態度、違反などの反復継続性、ほかの労働者との均衡、使用者側の対応の不備の有無などに照らして判断すべきとされています。解雇規制について1労働契約法第16条は、解雇に関して、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。①客観的に合理性な理由および②社会通念上の相当性を欠く場合に解雇を無効とされることになりますが、試用期間の満了も解雇の一種ですので、これらの要件を充足する必要があります。まず、①客観的に合理的な理由については、解雇の理由が、単なる主観ではなく客観的に即戦力として採用した際の説明内容や採用後の処遇によっては、試用期間満了による終了が認められる余地はあります。しかしながら、改善の機会を与えていたことや即戦力として期待されていたことの立証は求められます。A中途採用した人材を、試用期間の終了に合わせて雇用契約を終了してもよいのでしょうか即戦力として期待して中途採用した社員がいるのですが、期待とは裏腹に活躍が見込めないような状況にあります。試用期間中であることから、試用期間満了時に契約を終了させたいのですが問題ないでしょうか。Q1第81回 期待値の高い中途採用者の解雇、高齢者の労災リスク弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2025.342知っておきたい労働法A&Q
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