2025.34ると思います。 行動評価は半期に1回、年2回実施し、評価項目は「フォロワーシップ」、「チームワーク」、「指導・育成」、「健康管理」、「経営思考」、「プロ意識」の六つです。フォロワーシップでは、部署の方針にしたがい、上司やメンバーと協力しながら業務を遂行しているかを見ています。また、経験や実績を持つ人のなかには、ややもするとスタンドプレーに走りがちな人もいるので、自分勝手な行動は取らないという意味でチームワークを重視しています。指導・育成も後進にしっかりと技術・技能を伝承してほしいという思いがあります。―行動評価にシニアに対する期待があらわれていますね。また、雇用の年齢上限が70歳まで延びたことで健康管理も重要となります。会社として何か健康に配慮していることはありますか。下村 経営会議で「健康経営Ⓡ(★)」の推進に力を入れていくことを決定し、経済産業省の「健康経営優良法人2025」の申請をしています。その一環としてシニアにかぎりませんが、健康診断の一定の項目の数値が高い人には、就業制限をかけるようにしました。例えば、最高血圧が180以上になると脳疾患や心臓疾患などのリスクが高まりますし、その場合は時間外労働や休日出勤、単独での運転や高所作業などを禁止します。いままでは健診結果がよくなければ、ひとまず二次健診を受けるようにと本人任せになっていました。会社の安全配慮義務も含めて、社員自身にも健康管理に対する意識を高めてもらい、治療に専念し、数値が改善すれば通常の仕事に復帰できるようにしています。―健康問題のほか、家族の介護など、加齢とともにさまざまな事情を抱えるシニアも増えてきます。その点での対応はいかがでしょうか。下村 短日・短時間勤務制度を設けています。60歳定年後の継続雇用社員については要件は限定せず、個々の事情に応じて上長と話し合い、会社が承認すれば時給制の非常勤社員として働くこともできます。短時間勤務自体は従来から可能でしたが、時給は一律に決まっていました。新制度下では役割ランクに基づいて時給単価を計算するので、個々に支給額も異なります。―処遇の改善によって人件費も増えることになります。それだけシニア社員に対する期待も大きいということですね。下村 経営トップも、「社員の処遇を向上させることが私のミッションの一つである」と、つねにおっしゃっています。その想いを具現化することが人事労務部の仕事です。継続雇用制度のスタート当初はシニアの力を経営戦略と結びつけて考えていなかった面もあります。いまは若手だけではなく、シニアも含めて人に対する投資を積極的に推進していこうとしています。いまのシニアは本当に元気ですし、意欲の高い人も多い。特に建設業にとっては、シニアは貴重な戦力ですし、しっかりと処遇し、元気に活躍していただきたいという思いが強くあります。今後も期待を込めたメッセージを発信し続けていきたいと考えています。(インタビュー/溝上憲文 撮影/中岡泰博)多様な勤務制度にも対応元気で意欲的なシニアに高い期待株式会社九電工 人事労務部長下村晋二さん★「健康経営Ⓡ」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
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