エルダー2025年3月号
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エルダー7特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜ミドルシニアのキャリア意識の現状本日、私からはミドルシニアのキャリアにおける現状と課題についてお話しします。私自身は20年近く企業のESG※1の評価にたずさわってきました。そのなかでも、特に働き方に関する調査・研究に長く従事しており、ここ数年ではいわゆる中高年、ミドルシニアの働き方に関して、株式会社日本総合研究所を主体としてデータを実際に集めて、働く人たちの意識について、データを分析しながら調査・研究を行っています。本日の講演は二つのテーマを用意しています。一つめは「ミドルシニアのキャリアの意識の現状」です。こちらは日本総合研究所が実施をしたアンケート調査を基にお話しします。45歳以上の就労者比率が、年々増加しており、2023(令和5)年には約6割近くに上っています。1976(昭和51)年には約4割でしたが、いまでは働く方々の多くが45歳以上であり、さらにこの比率は今後も増えていくでしょう。労働力人口全体が減少していくなかで、いかにミドルシニアに働き手として活躍をしていただくかが、非常に重要になってきています。では、日本社会におけるシニア雇用の現状を見てみると、65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況として、約7割の企業が継続雇用制度を導入しています。一方、70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況を見ると、65歳まで働くことができる企業と比べ、70歳まで働ける企業はまだまだ少ないといえます。ちなみに、70歳まで働ける企業の従業員の規模を見ると、301人以上の企業より、21〜300人、いわゆる中小企業の方が70歳まで働ける環境を整備しています。これは、中小企業のほうが人手不足が深刻なので、より長く働いてほしい意向が強いのではないかと推察をしています。それでは働き手の意識はどうなっているのでしょうか。ミドルシニアの男性の労働価値観の特徴を見てみましょう。一つめは外的報酬欲求です。特徴としては、「出世、昇進のために働くことが重要だ」と考えている人が、就職活動時点※2では約3割ですが、現在は2割ほどに下がっています。二つめの特徴は、内的報酬欲求です。「自分の能力、スキルを活かしたい」と考えている人ミドルシニアのキャリアの現状の課題基調講演株式会社日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト 小こ島じま 明あき子こ※1 ESG……Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の略※2 アンケートを実施した時点で、就職活動時はどう思っていたかをふり返って回答令和6年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム「ミドルシニアのキャリア再構築~リスキリングの重要性と企業の戦略」11月28日開催2024年

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