エルダー2025年4月号
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エルダー11特集高齢社員の「学び直し」を考えるはじめに11読者のみなさんの組織では、これまで中高年社員の活性化や活躍促進についてどんな取組みをされてきたでしょうか。私が多くの組織とかかわるなかで、大きく三つのパターンに分けられると考えています。一つめは中高年社員がこれまでつちかってきた能力の陳腐化があまり進んでおらず、貴重な戦力というケースです。インフラ系の企業や食品メーカーなどによく見られます。この場合、自分たちの身につけてきた能力に気づいてもらい、モチベーション向上を主眼にしていく取組みが必要になります。二つめは中高年社員には第一線から少し退いてもらいたいというケースです。「黄昏研修」なんていわれているものです。金融系企業で特に多く見られます。そして三つめが中高年社員に学び直しを通じて新たな分野でチャレンジしてもらおうというケースです。IT企業や商社など、変化の激しい業界でよく見られます。しかしこれからは、おおむね三つめのケースに集約されていくと考えられます。その背景は、生成AIの“あたり前化”という技術変化と、働き手不足という環境変化によるものです。企業における中高年社員への学び直し支援は自己啓発から戦略へと転換していく必要があります。モチベーションだけでは今後の環境を乗り越えていけませんし、また黄昏研修などを行っている企業にはそもそも優秀な人は集まらなくなるでしょう。企業はこれまで以上に明確な意思をもって中高年社員の学び直しを実現していく必要があるのです。学び直しに向けた企業文化をつくる22ちなみに生成AIにこのレポートのタイトルを入れると、七つの大項目と21の取組みが出てきました。学習機会の提供、学習を促進する制度、環境づくり、マインド醸成、感情的配慮などです。どれももっともなことが書かれていますが、それでも中高年社員の学び直しがなかなか進まないのが現実ではないでしょうか。多くの企業では、取り組みやすいところから始めるケースが多く、キャリア研修やオンライン学習の機会を多くの企業で整備されてきていると思います。しかし最初に行わなければならないのは、自社の「キャリアパス」の改革と、そこに向けた企業に求められる中高年社員への学び直し支援解 説 株式会社ジェイフィール 代表取締役 コンサルタント 片かた岡おか 裕ゆう司じ

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