2025.412と、②新たなチャレンジに対する好奇心の低下、③新たなチャレンジに失敗したり、新たな仕事の担当となり初心者になってしまったりする不安、があります。これらの要因が絡まり、負のループへと入り込んでしまうとなかなか抜け出せません(図表1)。ここであらためて好奇心とは何かについて少し考えてみたいと思います。心理学的には二つの好奇心が存在するといわれています。「拡散的好奇心」と「特殊的好奇心」といわれるものです。「拡散的好奇心」とは、新たな情報を求める人間の根源的な動機です。しかしこの好奇心は、「新規性が高すぎるもの」、「既存の枠組みを否定する可能性のあるもの」を避ける傾向があります。中高年社員の学び直しという文脈でとらえると、新たな学びに好奇心を持たせるには、自己像を大きくとらえ、自分と新たなスキルにつながりを描いていくことが大切ということになります。もう一つの「特殊的好奇心」とは、何か特定の領域を深掘りしていく好奇心です。これは達成可能と感じられることや自己選択が重要になってきます。また受身的な特性があり、周囲との比較や明確な目標が好奇心を刺激するとい「経営のコミットメント」を醸成することです。だれもが受験前には勉強をするかと思いますが、働きながら学ぶことをあたり前にしていかないといけません。キャリアの中盤から後半戦に向かっていく中高年社員にとって、学び直すことをあたり前の企業文化にしていく必要があります。私のクライアントのある会社では、50代社員にジョブ型人事制度を導入し、53歳で全社員が公募で自分の仕事を勝ち取る仕組みを導入しています。厳しい仕組みという側面もありますが、自分のやりたい仕事、処遇のよい仕事などを自分で勝ち取るチャンスととらえ、新たな学びにチャレンジする中高年社員が多くいました。これでは組織が起点となっていて、主体的なキャリア自律になっていないといわれるかもしれませんが、中高年社員の学び直しは戦略的に取り組まないといけない環境になっているということです。各組織と個人がともにありたい姿を描き、行動しなければなりません。中高年社員と知的好奇心33中高年社員が活性化しない要因として、①「自分の今後の職業人生はこんな感じだろうな」ととらえてしまい自己像を矮小化してしまうこ図表1 中高年社員の学びを阻害する負のループ※ 筆者作成自己像の矮小化不 安好奇心の低下今後の職業人生はこんな感じだろうととらえてしまい自己像を矮小化してしまうこと新たなことにチャレンジして失敗したときの不安新たな場で自分が初心者になる不安できる範囲の仕事が続き、好奇心が持てないモチベーションや活力が低下する
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