エルダー17特集高齢社員の「学び直し」を考えるます。これまで働いてきて、あらためて当社で車の運転をする業務に長く就きたい気持ちがあれば、世の中の変化を知り、自分の運転を考え直さなくてはいけません。もちろん、きちんと運転している人もいます。その人たちは講演会を確認する機会としてもらい、心に響く話をきっかけとして聞いて学びにしてもらいたいです」と髙山社長は話す。そんな熱い思いから、講演の講師へのアポイントメントは、髙山社長自ら行っている。社員も特別講演を楽しみにしているようだ。「心に響く講演」をテーマにし「心に響く講演」をテーマにし高齢社員のQOL向上を目ざす高齢社員のQOL向上を目ざす今年度は業務上の安全に関連する講演内容であったが、7、8年ほど前からジャンルや地域にとらわれず「心に響く講演」をテーマに講師を選出するよう方向転換した。「以前は建設に関係した話をしてもらっていましたが、テーマの幅を広げて、もっと社員のモチベーションが上がる内容にして、社員の心に留めてもらいたいと思いました。そこで、ふだんなかなか聞けない話で、違う世界に触れられるような、新しい空気を入れることで、感性を豊かに、人間性が豊かになればと考えています。私自身、さまざまな場所に行き、さまざまで、来たる2025年度の講師は、交通事故の遺族で、「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」の副代表理事を招いて開催する予定である。「私たちは業務で車を運転し、日常生活ではだれもが車を運転します。当社でも一年間で大なり小なり事故が起きており、その要因の一つに熟練者の自己過信があげられています。会社がいくら安全運転を呼びかけ、さまざまな事故の事例をあげても、『私は事故なんて起こさない』という過信があって、最終的に心に響かなかったらどうにもなりません。今回、講演を聞いて遺族の気持ちを知り、学びに変えてほしいです。自己過信をひっくり返したいと思っています。また、いま、世の中がどう動いているか、いまの自分の運転はどうなのか、よかったのか、もっと上手くできたのかを検証する場でもありな人の話を聞いて、交流を持つなかで学びがあり、感性が豊かになっていくと感じているので、社員にも同じように違う世界に触れ、人生が豊かになる学びを提供したいと思いました」と髙山社長。「心に響く講演」は社員のQOL向上もねらいの一つとなっているようだ。また、講演の効果は、バディ方式で行っている若手指導にも活きていくというのが、髙山社長の考えだ。技術継承の場では、「見て学べ」という考え方が長く定着しており、最近ではこうした考えに基づく指導はなくなったが、まだ、「お前もこうしろ」と押しつけるような指導をする人が見受けられるという。会社は若手の環境や背景、考え方に合わせた指導を求めており、指導担当者も自分で「よくない」とわかっていても、つい過去に自分が受けてきた指導の通りにふるまってしまうこともあるようだ。「心に響く講演」から世の中の価値観の変化を学び、自分が過去に正しかった手法に固執していることに気づき、新しい方向に進む動機づけとしての学びになればと期待している。「私自身、経営者として、学び続けなくてはいけない、足を止めてはいけない、と思っています。時代はつねに変化しており、過去の常識が通用しない場合がありますから。高齢社員に2024年度「安全大会」特別講演の様子(写真提供:髙山産業株式会社)
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