エルダー2025年4月号
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2025.420雇用形態としては、再雇用制度だけでなく業務委託契約で働くことも可能となっており、介護の現場を離れても、職場の環境整備や施設の管理業務など、周辺業務を担当してもらうことで、できるだけ多くの働く場所、働く機会を提供できるよう対応してきた。年齢構成は時代を反映して「若年者が少なくミドル層と高齢者層が多い」という逆ピラミッドを形成しているが、全体の雇用バランスを考慮しながら、長年勤務する職員のキャリアの持続性を確保する施策を展開している。こうした年齢バランスになった要因について吉田室長は、「ひとつは単純に若年労働者の減少という側面があります。30年前までは福祉の専門学校から新卒者が毎年入所するといったこともありましたが、いまは若手人財の確保がむずかしくなっています。そのうえで、当施設の方針として、『一度勤務していただいた方には、定年を迎えてもずっと働き続けていただきたい』という思いがあります。この方針のもと、さまざまな仕組みをつくり続けてきました。その結果、ありがたいことに離職率が減り、勤続年数の長い方が増えてきたのです。つまり定年後も離職することなく活躍できるような環境となってきたために、全体的に年齢層が上がっているのです」と話す。希望者全員希望者全員7070歳までの雇用を実現し歳までの雇用を実現し6060歳以上の職員は3割超歳以上の職員は3割超同法人における高齢者雇用の取組みの現状について、企画室室長の吉よし田だ理おさむさんは次のように話す。「当法人では、グループの方針に基づき、高齢職員が活躍できる環境の整備に努めてきました。その結果、60歳以上の職員が全職員の33%を占めており、多くの高齢職員が活躍しています。定年は60歳ですが、希望者全員70歳まで働ける再雇用制度を整えており、それ以降も特定の専門職については本人の希望により働き続けることが可能です」「介護福祉士実務者研修」と「ケアマネージャー「介護福祉士実務者研修」と「ケアマネージャー受験対策講座」でキャリアアップを促進受験対策講座」でキャリアアップを促進同法人においては、職員がキャリアアップできる環境整備に注力しており、もちろん高齢職員のキャリアアップを図る取組みにも注力している。そこに高齢職員の「学び直し」がある。その一つが国家資格である介護福祉士の資格取得を支援する、「介護福祉士実務者研修」と「介護福祉士対策講座」だ。介護福祉士実務者研修は、専門の学校に行かなくても介護福祉士の受験資格を得ることができる制度で、同法人で働きながら受講できるプログラムとなっており、介護分野の専門知識がなく未経験からでも受験資格を取得することができる。この制度は、高齢職員だけではなく、若年層の雇用の幅を広げるための施策でもあるが、高齢職員とのかかわりについて、吉田室長は次のように話す。「福祉の周辺業界、例えば看護師や医療関係者などが高齢となり、セカンドキャリアとして介護の世界に入ってくる例はたくさんあります。その方々に、少しでも専門性を高めてもらい、介護職として今後のキャリアを形成していってほしいという思いもあります」介護福祉士の国家試験は毎年1月にあり、試吉田理企画室室長

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