エルダー21特集高齢社員の「学び直し」を考える「最近では、配偶者の介護を自宅で行っており、『働き方が選べるフレキシブルさが魅力』と感じて、ケアマネージャー資格を取得した職員もいます。高齢職員にかぎらず、出産や子育てなどと仕事を両立するための制度、ということができると思います」(吉田室長)「スーパーバイザー」や「介護助手」など「スーパーバイザー」や「介護助手」など管理職経験者や求職者に新たなキャリアを提示管理職経験者や求職者に新たなキャリアを提示一方で、管理職経験者の高齢職員のキャリア形成を支援する仕組みとして、「スーパーバイザー制度」がある。これは長年にわたって実務経験を積み、管理職としての経験も持つ役職定年後の高齢職員をスーパーバイザーに任命し、後進の育成をになう立場として活躍してもらうための仕組み。役職定年で若い世代とバトンタッチする際、役割を明確化させるという意味もある。「スーパーバイザーは、若手や新規採用者の指導・教育を行い、特に『ヒューマンスキル』や『コンセプチュアルスキル』を育むことに重点を置きながら、リーダー職や管理職を支えてもらいます。2025年は特に自己流やその場かぎりの対応が許されない『接遇』に関して力を入れて指導してもらう方針です」(吉田室長)研修の企画や実施にあたっても、リーダー職験の前には試験本番に備えるため、外部講師を招いて介護福祉士対策講座を毎年実施して、受験する職員を支援。若手だけではなく、これまでに中高年職員16人がこの講座を受講している。このほか、「ケアマネージャー受験対策講座」を毎年実施している。これは、ベテランとなった専門職員の、より長期的な雇用を実現するためのキャリア形成支援の取組みだ。「ご存じの通り、介護の現場というのは、ある一定の年齢になると、身体的な負担が大きくなってきます。もちろん『現場で働き続けたい』と希望をする方もいますが、身体的な負担の少ないケアマネージャーとして、相談業務を担当したいという職員が一定数いるので、そういった要望に応える形で行っている取組みです」(吉田室長)ケアマネージャーになると、同じグループ内のフェニックス在宅相談センターでの勤務が可能となる。同センターでは、在宅勤務やフレックスタイム制度が導入されており、職員一人ひとりの暮らしに合わせた働き方を選べるため、就労意欲の向上をうながすとともに、ワーク・ライフ・バランスの調和も図れるということで、この対策講座を受講してケアマネージャー試験に挑戦する職員は少なくない。をサポートしながら、OJTやチームカンファレンスを通じて現場の一体感をつくり出す役割をになうスーパーバイザーは、高齢職員の働く意欲も引き出す仕組みといえる。また、就労を希望する高齢者の働く場を創出し、さらに幅広い働き手を確保するために導入された仕組みとして「介護助手」がある。介護助手とは、介護職員をサポートする職種であり、食事の配膳や掃除、ベッドメイキングなど、利用者の身体に触れない範囲でのサポートを行い、直接的な身体介護が求められる介護業務に付随する周辺業務をになう。資格を有する介護職員に本来の業務に専念してもらうことで、業務の機能分化とサービスの質の向上を図り、あわせて就労を希望する高齢者などにその機会を提供するのが目的だ。「毎年、『介護助手体験会』というものを開催しており、2024年に行った同体験会には、20代から70代の方に参加いただきました。施設の見学を含め介護助手の仕事体験、食事や清掃など関連した業務の説明などを行いましたが、『介護に関心はあるけれども、やっぱりむずかしそう』、『自分にできるかな』と躊躇されてる方に、介護助手という周辺業務でお手伝いできることがある場としてアピールしています」(吉田室長)
元のページ ../index.html#23