A弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲/弁護士 髙木勝瑛 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2025.4知っておきたい労働法A&Q高年齢雇用継続給付の支給率変更の影響は?方改革にともなって同一労働同一賃金制度が広く周知され、定年前と定年後の労働条件について、同一労働同一賃金による検討も加える必要が生じるようになりました。同一労働同一賃金については、①業務の内容、②業務にともなう責任の程度、③職務の内容と配置の変更の範囲、④その他の事情を考慮して、労働条件の差異が合理的な範囲にとどまっているか(均衡待遇といえるか)が判断されますが、定年後の継続雇用であることは、④その他の事情として考慮されることになっています。月1日判決)では、定年後再雇用であることに関連して「定年退職後に再雇用される有期契約労働者は、定年退職するまでの間、無期契約労働者として賃金の支給を受けてきた者であり、一定の要件を満たせば老齢厚生年金このような継続雇用の状況に加えて、働き最高裁の判例(長澤運輸事件、平成30年61定年後公の的継給続付雇と用同制一度労を働実施同す一る賃に金あたって、定年後の労働条件(特に賃金)をどのように変更するかは、悩ましいところがあります。厚生労働省のQ&Aなどでは、継続雇用にあたっては、労働条件の変更がまったく許されないわけではないとされつつも、合理的な裁量の範囲内での労働条件の提示をすべきと整理されています。ここにいうところの、〝合理的な裁量の範囲〟とはどういった範囲であるのか、という点については、定年前の業務内容、役職や責任の程度やそれらをふまえて設定されている賃金の額と、定年後の業務内容や責任の程度などと比較しながら決定されることになるため、ケースバイケースの判断が必要となります。Q1継続雇用制度に関連して、高年齢雇用継続給付の改正が行われると聞きました。改正は継続雇用制度にどのような影響があるのでしょうか。改正により支給限度額が低くなるため、定年後再雇用における同一労働同一賃金へ影響すると考えられます。第82回 高年齢雇用継続給付の改正、給与制度の変更40
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