給与制度を変更する場合の留意点について知りたい1定額残労業働代条に件つのい変て更はに、つ固有いのて問題点もありますが、ここでは制度変更の点に絞ってみていきましょう。労働条件については、原則として使用者が一方的に変更することはできません。もっとも、労働条件の変更がまったく不可能というわけではなく、一定の要件を満たせば、労働条件の変更は認められます。労働条件の変更の方法としては、①労働者と使用者との合意による変更(労働契約法第8条)、②就業規則の改定による変更(労働契約法第10条)、③労働協約の締結による変更があります。以下みていきましょう。労働契約法第8条は、「労働者及び使用者とみるのは相当でなく、当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は慎重にされるべきである」(最判平成28年2月19日)と判示しており、更生会社三井埠頭事件(東京高判平成12年12月27日)では、「就業規則に基づかない賃金の減額・控除に対する労働者の承諾の意思表示は、賃金債権の放棄と同視すべきものであることに照らし、それが労働者の自由な意思に基づいてなされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときに限り、有効であると解すべきである」と判示され、賃金や退職金に関する不利益変更に関する同意については実務上厳格に判断されています。いては、⑴変更の合理性、⑵変更後の就業規則の周知が必要になります。そして、変更の合理性については、ⅰ労働者の受ける不利益の程度、ⅱ労働条件の変更の必要性、ⅲ変更後の就業規則の内容の相当性、ⅳ労働組合等との交渉の状況等の事情により判断されます(労働契約法第10条)。賃金、退職金などのように労働者にとって重要な労働条件を不利益に変更する場合には、通常よりも高度の変更の必要性が要求されると解されています。2Qに(掲ビ東げー京たラ地事イ案裁ンと令ロ似和ジた6事も年件の2と月し19て日、)ビーラ就業規則の改定による労働条件の変更につは、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定しています。そのため、各従業員との間で、労働条件の変更について合意を得れば、その従業員の労働条件は合意にしたがって有効に変更されることとなります(なお、この場合には、後述する労働契約法第10条の変更の合理性の要件を満たすか否かは問われません)。もっとも、最高裁は、「労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており、自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば、当該行為をもって直ちに労働者の同意があったものQ2A2025.4このたび、各従業員に支給している精勤手当を廃止して定額残業代制度を導入することを検討しています。制度変更の方法や注意点を教えてください。①労働者との合意、②就業規則の改定、③労働協約の締結のいずれかの方法で行う必要があります。労働者との合意は労働者の自由な意思に基づくものである必要があり、就業規則の改定については高度の必要性に基づく合理的な変更である必要があります。なお、導入する定額残業代制度の有効性については検証しておく必要があるでしょう。42
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