エルダー2025年4月号
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エルダー7特集高齢社員の「学び直し」を考える中高年社員こそ中高年社員こそ“学び直し”が必要“学び直し”が必要1―「リカレント教育」や「リスキリング」という言葉が注目を集めていますが、すでに豊富な知識や経験、スキルを持つ中高年社員にも“学び直し”が求められる背景や理由について、お考えをお聞かせください。廣川 “学び直し”は中高年社員にかぎった話ではなく、あらゆる世代にとって必要です。「人生100年時代」は、「だれもが学び続けなければならない」ということが大前提になっています。そんななか、なぜ中高年社員の“学び直し”が特に重要になっているかというと、変化の質が大きく変わったいまの時代においては、中高年社員がこれまでにつちかってきた知識や経験、スキルが、むしろ「邪魔になってしまう」といった事態が起きているからです。以前は「営業一筋30年」など、長く一つのことを続けることによって得られるものに価値がありました。しかしいまでは、対話型生成人工知能(AI)「生成AI」を上手に使えば、世界中の古今東西の情報が、たちどころに要領よく集められます。しかし、こうしたAIをはじめとする新たな技術によって得られることに対し、「私は経験していないから」と否定的な中高年層もいます。若い世代の人たちからすれば、非常にやりにくい状況です。経験がありすぎるため、前の時代の経験が新しい時代を切り拓くときの邪魔になるということがあります。そこで重要となるのが「アンラーニング」です。「アン」は「解除」のような意味で、いままで学んできたことを解除して、いったん脇に置こうという考え方です。まさに、いまの法政大学キャリアデザイン学部廣川進教授中高年社員にとってはアンラーニングが必要で、コップの水を一回空けないと、新しい水が入ってきません。変化が大きすぎて、それを受けとめるのがむずかしい時代だからこそ、中高年社中高年社員の“学び直し”が求められる理由中高年社員の“学び直し”が求められる理由特別インタビュー法政大学 キャリアデザイン学部 教授 廣ひろ川かわ 進すすむ

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