2025.58す。「いずれ自分たちもこういうふうな目にあうんだな」と失望するかもしれません。高齢社員が“やりがい”を高齢社員が“やりがい”を感じられる環境を感じられる環境を高齢社員自身の悩みは、大きく分けて二つだろうと考えています。一つは、金銭的な面。もう一つが、やりがいの面です。金銭的な面については、企業ごとの方針などもあり、ここでは論じませんが、「やりがい」を奪われるという点は、どの組織もまだまだ対応可能な領域ではないでしょうか。やりたい仕事、好きな仕事も取り上げられてしまえば、「自分の何十年という蓄積はなんだったのか」、「これからは何に向かってがんばればよいのか」がわからなくなってしまうのも無理はありません。「高齢社員は学ばない」、「高齢社員は変化しようとしない」から「どうすればモチベーションを上げられますか?」という相談を企業の人事担当者からときどき受けるのですが、高齢社員の「挑戦機会」を設けているか、能力開発を支援しているか、仕事の「やりがい」を奪うなどしていないか、期待をかけているかといった視点で、組織側も高齢社員の働く環境を見直すことは必要でしょう。事は回ってこないのか。65歳まで10年近くあるけど、すでに“終わった人”のような扱いになるんだなと思い、気落ちしました。私と同年代であることもあるので、気安い気持ちで話してくださるのでしょうが、これらはほんの数例です。日本全体で見ると、若年層の人口自体が減り、各所で人手不足が進み、なんとしてでも労働力人口を維持したい、高齢社員も活躍できるようにと法改正も進んでいるなかで、どの組織でも相当なボリュームゾーンだと思われる高齢社員を取り巻く職場の環境は、何十年も前とあまり変化していないのかもしれません。「55歳役職定年以降」、「60歳定年以降」の社員が、「おまけ」のような扱いを受けてしまうのは非常にもったいない気もします。一般に、給与面などの処遇が変化することから、業務内容自体もある程度変えざるを得ないのはわかるものの、だとしても、「担当していた業務や新しいことへの挑戦機会もなくす」、「やりがいを損ねるようなコミュニケーションを図る」というのは、組織にとっても得策ではないと思うのです。職場では、後に続く40代や30代など若手中堅社員も、高齢社員の扱われ方を見ているわけでさい」といわれたのです。全社の方針は「挑戦しよう!」なのに、モヤモヤしています。■60代前半女性(人事)さまざまな人事・人材育成施策を自分の考えで動かしてきました。従業員の声を集めながら、「この取組みは従業員のためになるな」と知恵を絞り、企画を動かしてきました。経験を活かした自分らしい仕事ができるようになってきたと思えたのは50代になってから。ところが、60歳を超え、再雇用になったとたんに、上司からは「これからはあなたのアイデアを実現するのではなく、後輩たちが考えたことを実現する手伝いをしてほしい」といわれました。これからも実現したいことがあり、そのための勉強もしていたので、羽が折られたような気分です。■50代後半男性(エンジニア)50代前半で役職定年後、開発プロジェクトのマネージャを担当、それはそれで経験も活かせて、やりがいがありました。しかし55歳を超え、しばらくすると新規プロジェクトにアサインされないようになってきました。「あれ?」と思い、上司にたずねると、「残り数年の方には、新規プロジェクトを任せないという方針です」といわれました。もう挑戦しがいのあるおもしろい仕
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