エルダー2025年5月号
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2025.510図表3 愛されシニアになろう※ 筆者作成年齢問わず、学び続ける例:新しいことにアンテナを 立てていることを示すご機嫌で過ごす例:意識して笑顔でいる年下の同僚に教えてもらうときも素直に学ぶ例:謙虚な態度で学習する年下の同僚たちとていねいに接する例:「ですます」で話す組みです。「やりたいことがある」という場合、それが企業、組織の目ざす方向とずれていないかぎり、やってもらったほうが成果につながるケースもあるはずです。何もかも、「後進に譲りなさい」、「あなたは裏方で補助的な動きだけしてくれればよい」というのは、合理的ではありません。70歳を超えても働くかもしれないこの時代に、「補助的役割」を10年以上も与え続けることが労働生産性の向上につながるのか、いま一度考えていただきたいのです。「愛されシニア」になるために「愛されシニア」になるためにていねいなコミュニケーションをていねいなコミュニケーションを最後に、高齢社員へのアドバイスを。まずは、何歳になっても学び続けることです。興味のあること、新しいことにアンテナを立て、少しでも学んでいる姿を若い人たちに見せるのです。学ばないと思われている高齢社員のイメージを覆すには、あなた自身の行動で示すしかありません。それでも、わからないことは、後輩たちに教えてもらうことがあるでしょう。その際、素直に学び、ていねいにお礼を述べていますか?「これ、わからないんだけど、教えてくれる?」ではなく、「ここ、わからないので、教えていただけますか?」とていねいな言葉で話し、「あ高齢社員の落ち着きや知恵などが十分発揮され、若手社員への支援にもつながる、やりがいをもたらす取組みだと感心しました。ただし、メンターなど若手の成長支援にかかわる高齢社員には、「現代のキャリア観や働く価値観、新しい育成のあり方」などを学び直してもらう必要があります。古い考え方、古い価値観で若手とかかわることは避けなければなりません。④高齢社員へのまなざしのアンラーニング60歳定年制が義務化されてから30年ほどは経ちます。「定年間近の50代は、失速する」、「その後の再雇用で残る人もやる気がない」、「そもそも年齢が年齢だけに新しいことも覚えたがらないだろう」といった「眼鏡」で高齢社員を見ているという面はないでしょうか。もちろん、高齢社員は、気力、体力、記憶力など、20代・30代と比較すればどうしても不足する面はあるかもしれません。でも、高齢社員が現役で長く働き続ける時代になって、高齢社員の能力や経験や知恵、人脈などをうまく活かす方法はないのかを、経営も人事も現場の若手管理職も考え直すときが来ているのです。個人差があるので、ぜひ、人事や管理職には、一人ひとりとじっくり対話してほしいと思います。特に、高齢社員のやりたいことと能力をうまく活かす場を設計することはとても大事な取りがとう」ではなく「ありがとうございます」といっているでしょうか。あなたより若い社員は、あなたのサポートをするために職場にいるわけではありません。だれでもわからないことがあるのは当然で、教えてもらうこと自体が悪いわけではありませんが、教えてもらって当然、やってもらって当然、ではありません。ただでさえ、老眼などで険しい顔をしやすい高齢社員。ていねいで敬意を持った態度や言葉づかいを心がけ、ご機嫌で相手と接し、若い方たちから「愛されシニア」となれるよう努力を忘れないでいたいものです(図表3)。

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