2025.514効果があります。同時に、社内公募制で「自ら仕事を変える」ことは固定観念やポジションをアンラーニングして、「新人」となる機会を提供することにつながります。また、受入れ側も「自ら手をあげて異動してきた」からこそ年齢や過去の役職などを気にせずマネジメントしやすい面が生まれます。高齢社員側も自らがやりたい、興味がある仕事に手をあげる形であれば、年下の上司を持ったり、年下のメンバーと同列で仕事をしたりすることも受け入れやすくなります。社内公募制とともに社内公募制とともに導入すべきもの導入すべきもの66高齢社員に自らのキャリア、スキルや経験の活かし方を主体的に考えてもらう、キャリア自律をうながすためは、社内公募制とともに以下の工夫や仕掛けを一緒に考えることがおすすめです。・キャリア研修…高齢社員は、“人生の残り時間”を意識する世代だからこそ、アプローチを工夫したキャリア研修はキャリアを考えるきっかけとして有効です。人事制度だけではキャリアに対する主体性は生まれません。制度を使う意思、きっかけとなるのがキャリア研修であり、キャリア面談です。紹介しましたが、なぜ社内公募制が高齢社員の活躍支援につながるのでしょうか。高齢社員の活躍支援を考えるうえで非常に大切となるのは、「つちかってきた経験やスキルをどう活かすか?」です。一方で、活躍支援を運用するうえでハードルとなるのも「つちかってきた経験やスキル」であることが多いものです。例えば、多くの職場でミドル・シニアが持つ豊富な経験やスキルは貴重なものであり、部署内で頼られる存在となっています。つちかってきた経験やスキルとともに役職についている方も多いでしょう。高齢社員の活躍支援を考えるうえでは、経験やスキルをどう活かすかとともに、経験とともに生まれている固定観念などをアンラーニングしてもらうことも重要です。多くの企業において、高齢社員に活躍してもらうことと同時に、若手や中堅社員を抜擢して組織を活性化させる、10年後、20年後に向けた組織づくりをすることも重要です。だからこそ、役職定年の仕組みがあったり、成果主義やジョブ型人事の導入が進んでいたりするのです。社内公募制は高齢社員に「自分のスキルや経験がどう活かせるか?」を考えてもらったり、「興味や関心がある仕事にチャレンジできる」という高いモチベーションを生み出したりする・社外でのキャリア面談…前述の通り、高齢社員にとって社内の人事担当者は、年下であり、入社年次の後輩であることも多くなります。そうすると本音では相談しにくい状況が生まれます。社内でキャリア面談できる選択肢はもちろんあってよいですが、関係性のない社外の第三者に相談できる場をつくることがおすすめです。・リスキリング支援…高齢社員が活躍するためには、持っている経験やスキルに加えて新たな知識をインプットすることが必要となることが多いでしょう。それは、生成AIなどの知識かもしれませんし、自分の経験やスキルをメタ認知するスキルかもしれません。こうした活躍に必要な学習を支援しましょう。まとめまとめ77「社内公募制」は高齢社員の経験を活かしつつ、キャリア自律を促進する仕組みとなり得ます。自らのキャリアを考える機会、そして選択する場を設けることで、高齢社員に「自らの経験とスキルをどう活かすか?」を考え、キャリア自律をうながすきっかけとなるのです。本記事が高齢社員の活躍支援を考える参考となれば幸いです。
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