2025.522「ジョブディスクリプションの開示により、社内にどんな仕事があるか、何が求められているかが見えてくるので、シニア層の社員には、活躍する職務をぜひ見つけてほしいと思います」(山田グループマネージャー)自律的に成長し、自身と会社を変革し続ける人材を育成するため、会社主導で行ってきた人事配置から、個人が挑戦する場面を準備し、挑戦したい領域での活躍を叶える人事配置へ転換を図っている。なお、社内スカウト制度は、年度始まりの異動を見すえ、数カ月間に限定して実施する予定だ。なお、基幹職の新制度を導入するにあたり、説明会に社長が登壇し改革に関してメッセージを送った。今後は、さらにインナーコミュニケーションを通じて、発信を続ける方針だ。また、今後の課題として、以前から基幹職者として活躍してきた世代は、一律にプレイングマネージャーをになってきただけに、今後、マネージャー等級になって人を通してのみで成果を出すことになる点に不安がある人は多く、マネジメントに特化した研修などを通して支援をしていくという。2025年4月より2025年4月より6565歳定年後の再雇用制度を導入歳定年後の再雇用制度を導入同社は基幹職の人事制度改定と同時に、20を、対象者はだれでも知ることができます。部門側がジョブディスクリプションを提示するのに対して、基幹職者はキャリアシートを作成します。自身の経歴や保有しているスキル、および自身のキャリアプランに関して、例えば異動希望や、活かしたいスキル、挑戦したい領域をキャリアシートで見える化します。部門は求める人材をキャリアシートのデータから検索しスカウトします。ジョブディスクリプションとキャリアシートの相互開示により人材マッチングの質を向上させることがねらいです」(斉藤部長)ミドル・シニア層がスカウトされるケースについては、「単純な専門知識だけでなく、機会がないと得られない経験であったり、その経験に基づいた判断であったり、幾度となく起きる想定外の事態に動じない姿勢など、ベテランの強みに白羽の矢が立つことが十分に考えられます」(斉藤部長)という。同社では、シニア層がアドバイザーとしての要素が強いポジションで活躍しており、社内でも大いに需要がある。また、海外拠点の製造工場の拠点長は、事業運営、マネジメントといった多面的な経験が必要であることから、多様な経験を持った人物がになう必要がある。長年の営業経験を活かして新事業で新しいビジネスを開拓するポジションで活躍することもできる。25年4月から65歳定年後の再雇用制度を導入した。一般職、基幹職にかかわらず、定年後、本人が継続雇用を希望し、会社が求める職務と本人の能力を鑑みて再雇用する。再雇用の年齢上限は70歳で、1年更新の有期雇用となる。「基幹職のコンセプトと同じで、ジョブディスクリプションを用意し、職務内容と処遇の条件を開示します。65歳を超えるとさまざまな事情を持った人がおり、価値観も多様化していますので、シニア層の多様性に応えられるように仕事のバリエーションを増やして、ジョブディスクリプションを用意しています。65歳でいったん退職しますので、元一般職、元基幹職ということは関係なく、どの仕事をになうかで処遇を決めていきます。2年ほど前からトライアルを実施しており、すでに65歳定年後の再雇用として35人が働いています(2025年3月時点)。各職場におけるアドバイザーの役割として、つちかったノウハウを伝授しながら活躍しています」(斉藤部長)再雇用ではジョブ型の仕組みを活かし、シニア層に合った働き方を提供して、持てる力を活用していくという。役職定年制の廃止や社内スカウト制度の導入、70歳までの継続雇用制度とジョブ型の活用など、ミドル・シニア層の活躍をうながしていく同社の取組みは、他社にとって参考になるのではないだろうか。
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