エルダー2025年5月号
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エルダー25特集会社の成長のカギを握る「高齢社員の活かし方」イヤーとしてどれだけ仕事ができるのかを問われるのだと思い、それまで社内でさまざまな役割を経験したことが自分の強みになると考えて、キャリアコンサルタントの資格を取得し、それからは資格を活かして、企業内キャリアカウンセリングも担当しました。同時に、シニア社員の一人として、自分の行く末についても日々考えるようになりました」(黒丸さん)65歳で退職する少し前に、産業雇用安定センターのキャリア人材バンクに登録して、求職を申し込んだ。「65歳まで懸命に働いて、『それなりに満足した会社生活を送ることができた』という気持ちもありました。ただ、コロナ禍にフルリモートを経験した際、何か物足りなさを感じたことを思い出し、自分は組織のなかで、Face to Faceで意見を出し合いながら進めていくような仕事が性に合っているのだと気づいたのです。再就職をするなら、それができる会社で、経験が活かせる人事領域で働きたい、そう思うようになりました。異業種の会社で、これまでと違う世界をのぞいてみたいという好奇心もありました。とはいえ、フルタイムで働くのはきついかなとも思い、キャリア人材バンクでは『週3日くらいの勤務で採用していただける会社があれらかく、温かい雰囲気を持って人に接している様子も、人事部門にふさわしく、求めている人財にピッタリとあてはまったので、戦力として採用を決めさせていただきました」と小川人事部長は黒丸さんの採用時についてふり返る。研究職から管理部門まで研究職から管理部門までさまざまな経験を活かせる仕事をさまざまな経験を活かせる仕事を黒丸さんは、研究開発型の製薬企業に四十数年間勤務して、2023年11月、65歳でその会社を定年退職となった。製薬会社には研究者として入社し、長年研究開発にたずさわった後、50歳を超えてから退職までは人事領域に異動して、社員向けの研修をになう組織の責任者となり仕事に邁進。57歳のときに役職定年を経験した。「このとき、今後は肩書きのない一人のプレば』と少しわがままをいって、求職の申し込みをしました」キャリア人材バンクの登録は、当時勤務していた会社で、在職中に受けることのできる再就職支援サービスの一つだった。ほどなくして、産業雇用安定センターからキャリア人材バンクの求人企業の紹介があり、山九の本社を訪ねて面接を受けることになった。黒丸さんは、山九という会社に対し、経営理念の最初に「人を大切にすること」を掲げていることにまず共感したそうだ。また、社会のインフラを支える大切な事業をになっている会社であること、面接での訪問時に感じた社内の雰囲気に好感を持ったこと、取引先に著名な企業が名を連ねていて世界が広がるような気持ちになったことなどから、この会社に再就職したいと思ったそうだ。「入社してからもいろいろな発見があり、実際に視野が広がっています。よい刺激をいただきながら仕事ができています」と黒丸さんは表情をさらに明るくして話した。ダイバーシティ推進の準備をにないダイバーシティ推進の準備をにない会社の文化を理解することから始める会社の文化を理解することから始める同社に入社した黒丸さんは、人事部DEI推進グループに所属。希望通り、週3日、8時30分~17時30分で勤務している。キャリア人材バンクを通じて65歳のときに入社した、人事部DEI推進グループの黒丸修さん

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