2025.532新入社員の教育計画を立てるアドバイザー佐さ々さ木き一かず照てるさん(67歳)は、46歳のときに同社に入社しました。以前は本社工場に勤務していましたが、2022年に稼働した吉岡第6工場に本社工場の機能が移ったのと同時に異動。現在はアドバイザーとして若手育成を担当しています。第6工場は、おもにバスやトラック部品の板金・溶接などの工程を行っています。佐々木さんは「取引先がいくつもあり、納期が重なってしまうことがあります。その際は案件ごとに工程を見きわめ、優先順位を決めて、時間がかかる案件を途中まで進めておくなど、工夫して工程管理を行っていまの高い機械をどれだけ持っているか、という時代になりました。当社も機械を多く導入したことで社員の総労働時間も減っていき、定年を迎えられるようになりました。そこで定年を延長し、セットで年齢上限のない継続雇用制度を設けました。実質的に定年はないようなものですが、『定年』を機に後進の育成を意識してほしいと思っています」同社では、定年後もほとんどの社員が継続雇用で働くことを希望しているそうです。本人が自身の定年や退職を意識し、その後どうするのか考え始めるのは定年の1年くらい前からとのこと。定年後もほぼフルタイム勤務を継続しますが、70歳を境に勤務形態を見直す人が増えており、週4日勤務や、短時間勤務など、本人の希望と健康状態に応じて、柔軟に対応しています。「当社で高齢者が長く働いている要因の一つに、柔軟な勤務制度があると思います。最年長は81歳で、いまもフルタイムで働いています。若手が自分の将来を考える際のお手本のような存在です。私は、若手に定年や年金、高齢になってからの働き方を考えるように話しています。まだピンとこなくても、80代の社員が活躍する姿を見て、自分の生き方に重ねられるくらいの意識を持てるようになってほしいですね」(伊藤社長)今回は、65歳を超えて活き活きと活躍するお二人に話をうかがいました。女性活躍推進については、「私が入社したころは母(前社長夫人)しか女性はいませんでした」(伊い藤とう正まさ貴たか代表取締役社長)とのことですが、現在は全社員の約2割にあたる31人の女性が活躍するまでになりました。同社の女性活躍推進の取組みは高く評価されており、2019(令和元)年12月に「えるぼし」認定の三ツ星を取得しており、将来的には男女比が半々になることを目ざしています。また、2020年3月に「新・ダイバーシティ経営企業100選」(経済産業省)、2021年3月に「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞を受賞、2023年3月に「障害者雇用に関する優良中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」の認定を受けています。高齢社員の生き方が若手社員のお手本に栄和産業では、2019年に67歳定年、基準該当者を年齢上限なく継続雇用する制度を導入しました。その背景について伊藤社長は次のように説明します。「昭和のがむしゃらに働く時代は、みんなが無理をして働き、結果、疲労して50歳くらいで退職するケースが多く、定年を迎える人はなかなかいませんでした。そんな“人の力”でなんとかしていた時代から、次第に現場の機械化が進み、生産性溶接の手本を見せる佐々木一照さん
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