エルダー3る企業は多いと思いますが、そもそも目ざす具体的な目標があまり明確ではなかったり、目標が明確であったとしても達成するためのプログラムがそれと結びついていないケースもあります。仮に結びついていると思っていても結果が検証されていないこともあります。やりっぱなしではなく、計測可能な指標を使って評価し、そのうえで改善し、次につなげていくというプロセスが大切になります。―企業で実践する場合、具体的な目標や計測する指標などはどうすべきでしょうか。水野 25554の規格は、多様な組織が活用できるような枠組みを提示していますが、具体的な取組み内容まではふみ込んでいません。各企業の状況に応じて自由に設定いただくことを想定しています。25554は抽象度の高い内容になっていますが、現在、同規格のパート2として、実際に枠組みに沿った取組みを収集・分析した事例集を作成しているところです。日本国内の健康経営に取り組んでいる事例も含め国際委員会のワーキンググループで検討しており、事例集ができあがれば、規格の具体的な活用方法の参考になるものと期待しています。 枠組みに沿って企業が25554に取り組む際は、まず「自社にとってウェルビーイングとは何か」を決めていただくことが大事です。職場のウェルビーイング向上では体の健康や人間関係など職場環境の改善などが考えられますが、その目的達成に向けて具体的なステップをつくって取り組んでいただきたいと思います。それが、従業員のエンゲージメントを高め、仕事に対するやりがいやワーク・ライフ・バランスの向上など、個人のウェルビーイングの向上につながりますし、ひいては企業のサステナビリティや業績の向上にもつながると思います。―生涯現役社会を迎え、働く高齢者のウェルビーイングの向上も重要になっています。どのように取組みを進めればよいでしょうか。ルビーイング向上を推進するための枠組みを示しています。具体的には、①ウェルビーイングのどの側面の向上を目ざすのか、目的を明確にする、②目的達成のためのプログラムや製品の仕様などを決めたうえで実践・展開する、③その結果、個人および組織のウェルビーイングをどの程度達成できたのか、客観的な指標を用いて計測し、次の改善につなげていく、というPDCA的なサイクルの枠組みを提示しています。 ウェルビーイング促進の取組みを行ってい組織におけるウェルビーイングの向上が従業員のエンゲージメントを高める
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