エルダー2025年5月号
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2025.552※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します川かわ口ぐち荘そう史し 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン/2750円石いし山やま恒のぶ貴たか・片かた岡おか亜あ紀き子こ・北きた野の貴たか大ひろ 著/千倉書房/2860円ビジネスリーダーのための意思決定の教科書キャリアブレイク手放すことは空ブランク白ではない終身雇用や年功序列があたり前のように取り入れられてきた日本の企業では、離職や休職は、キャリアのブランク(空白)とされることが多かった。しかし本書は、それはブランクではなく、ブレイク(休憩)であるとして、「キャリアブレイク」と呼んで、価値を見いだしている。キャリアブレイクとは、本書の定義によると、「今まで中心的に活動してきたキャリアの役割を手放すことによって、新しいキャリアの役割に向けて自分と社会を見つめ直している期間」。本書における「キャリア」は、ワークキャリアを含む、人生全体を射程とするライフキャリアを意味している。そして、個人のキャリア選択において、仕事を手放したり、休んだりするキャリアブレイクは、その先の人生を豊かにするものだととらえ、キャリアブレイクを実践した8人の事例を通して、その価値に迫る。また、キャリアブレイクを学術的に分析している。職業人生が長期化し、キャリアブレイクをする人は、今後増えていくことが見込まれる。本書では20代、30代男女の事例をあげているが、キャリアブレイクは広い年齢層において生じる可能性があるという。高齢者雇用を進めるうえでも、知っておきたい定義といえるだろう。仕事や日々の生活において、人はさまざまな意思決定を求められる。変化が激しく、情報があふれるいま、最適な意思決定をすることのむずかしさを痛感している人は多いだろう。本書は、精度の高い意思決定を主体的に行うための「つかみどころ」を解説する一冊。著者の川口荘史氏は、投資銀行でのM&Aやベンチャー創業、新規事業創出などの経験を経て、2017(平成29)年に起業。「経験知に価値を与える」ことをミッションに掲げ、企業の意思決定のための情報を広く扱う事業を運営している。ビジネスの現場においてさまざまな分野での意思決定を経験するなかで川口氏は、「どんな場面にも共通して必要な『意思決定の構成要素』」を見つけた。①主体的に「決める」心がまえ、②問いと仮説を「見立てる」、③情報処理で全体が「分かる」、④選択を言語化し「伝え、動かす」の4要素である。本書は、各要素の重要性とプロセスについて、著者の体験や知見をふまえつつ、ていねいに解説していく。経営者やリーダーシップ力を向上させたい人をはじめ、自分のキャリアや人生を主体的にコントロールしたいと考えている人にもおすすめしたい、意思決定の極意がつかめる内容だ。組織を前進させるために、「決断する力」を鍛えよう離職や休職はポジティブな選択肢!8人の事例からその価値に迫る

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