エルダー53武たけ神がみ健けん之じ 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン/1870円津つ川がわ友ゆう介すけ 著/集英社文庫/682円伊い賀が瀬せ 道みち也や著/PHP研究所/1210円生涯現役を目ざすには、健康寿命を延ばすためにも自分でしっかり歩ける体づくりが肝要だ。抗加齢(アンチエイジング)医学研究に長年たずさわってきた著者の伊賀瀬道也氏は、一生歩くためには「脚力」と「血管力」の両方を鍛えることが重要だという。本書は、百歳まで歩ける人になるために、脚力と血管力を鍛える理由や、脚力を強くする方法、血管を若返らせる食事や運動、楽しく効率的にウォーキングを実践する初級・中級・上級者向けのアドバイスなどを紹介している。脚力を強くするには、いすの背を持ち背筋を伸ばして立ち、両足のかかとを上げて、つま先立ちし、ゆっくり下ろす。ふくらはぎを意識して上げ下げを繰り返す「かかと上げ下げ」がよいという。このとき、かかとを上げる角度は20度にして、そのまま5秒間キープする方法を取り入れると、血流の改善も期待できるそうだ。ウォーキングは、体温が上がる夕方に歩くほうが、運動効果が大きいという。高齢者の場合、食前は血栓ができやすく、食後は転倒しやすいため、ウォーキングをする時間に気をつけたいという注意もある。ほかにも日々の心がけで、いつまでも歩ける人になるための情報が満載だ。健康づくりにまつわる情報があふれるなか、本書の最大の特長は、「情報の正しさ」であると、著者で医師の津川友介氏は強調する。「エビデンスの確かさに徹底的にこだわった、高度な手法で行われ、さらにそれが第三者である同分野の研究者によって厳しく検証された論文だけを取り上げた」うえ、専門性の高い分野に関しては、各分野の第一人者にも内容をチェックしてもらったことを、それぞれの第一人者の名前を紹介して示している。とはいえ、専門用語やむずかしい表現を極力使わずに、今日から実行できる健康習慣として具体的な内容を伝えていることも特長だ。一方で、より詳しく知りたい人のために、本書の根拠とした論文のリストを巻末に載せている。日ごろの生活習慣を少し変えることで、がんや脳梗塞などの重い病気になるリスクを下げることができる。「睡眠は質よりも時間。7時間以上眠る必要がある」、「健康に悪い食べ物・よい食べ物」、「1日1時間走ると寿命が7時間延びる」など、睡眠・食事・運動・入浴などのカテゴリー別に、エビデンスに基づく情報とアドバイスがたっぷり。知りたいカテゴリーから、気軽に読み進めてみてはどうだろう。本書は、メンタルヘルス不調を予防するためではなく、不調になっても安心して「休職」という選択肢をとれるようになるために、必要な情報と実践的なアドバイスをまとめている。著者の武神健之氏は、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施し、延べ1万人以上の働く人たちと向き合ってきた。その経験から、「自分の不調を受け入れ、向き合い、うまく制度を利用すれば、適切な『休職』は、むしろあなたの未来のキャリアを守る選択なのです」と実感をつづっている。しかし、休んだほうがよいと思いつつ、「まだ自分はできる」と考えたり、仕事を休むことに不安を抱えていたりする人が実際には多いそうだ。「教科書」と名づけられた本書は、そうしたメンタル面の不調を抱える人の不安と悩みに答えるように、ストレスの気づき方、病院にかかるかどうかの判断やタイミング、「いい医者」のみつけ方、休職の判断、休職中の過ごし方、復職までの道筋、お金のこと、キャリア・転職のことなどについて、読みやすい文章で具体的に、さまざまなケースの紹介も交えて説明している。メンタル不調が気になる人や、職場の上司、人事担当者にも手にとってほしい良書である。百歳まで歩ける人の習慣脚力と血管力を強くする正しい医学知識がよくわかるあなたを病気から守る10のルール未来のキャリアを守る休職と復職の教科書抗加齢医学研究の専門家が、運動や食事、歩き方を伝授。一生歩ける人になる!徹底的に科エビデンス学的根拠にこだわった、今日から実行できる健康習慣産業医が伝える、安心して休職する判断から復帰までの道筋
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