エルダー2025年5月号
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エルダー7特集会社の成長のカギを握る「高齢社員の活かし方」図表1 高齢社員のやる気・やりがいを奪ってはいないか?※ 筆者作成はりきらなくて大丈夫ですよ今後は新しいプロジェクトにはアサインしません高齢社員自身の「やる気」ばかりを話題にするが、「やりがい」を奪うような環境になっていないでしょうか?その役割は若い人に任せて、支援や補佐に回ってください新しくやりたいことがあるんですが…もっと挑戦的な仕事がしたいのに…自分で企画した施策を実現したいと思っていたけれど…総 論スキルや経験を活かせる場が減ればスキルや経験を活かせる場が減ればモチベーションは低下するモチベーションは低下する職業能力というものは、一般に経験年数と比例して増えていくと考えられます。人によってその能力の範囲や深さ、専門性などは異なるものの、働いた年数なりの知識、スキル、仕事上の多様な知恵などがあるものです。いまでは通用しない知識や知恵もあるでしょうが、組織のなかで伝承し、次世代にも活かしていきたいものがあるはずです。いや、伝承以前に、高齢社員自身がさらに能力を伸ばし、これからもその能力を高く発揮してもらいたい、というのが、これからの高齢社員に期待すべきことのように思います。なぜならば、65歳までの雇用の完全義務化に加え、昨今では努力義務である70歳、あるいはそれ以上の年齢まで就業する機会を設ける職場も増えつつあるからです。しかし、50〜60代社員に聴くと、長年つちかってきた職業能力を組織が活かそうとしないため、だんだんモチベーションが下がるという声も出てくるのです(図表1)。以下は、私がここ数年で実際に耳にした55歳以上の方たちの声です。■50代後半男性(書籍編集)役職定年で給与が減ったことより、仕事内容が悩みの種です。役職から外れ、本来好きだった編集の仕事に集中できると楽しみにしていましたが、上司と面談時、「定年まで5年。新しい本を出すなどはりきらなくてよいので、今後は目の前の業務を粛々と担当してください」、「今後は、加点はないです。減点にならないことに気をつけてくだ高齢社員の“強み”と活用の課題高齢社員の“強み”と活用の課題トレノケート株式会社 国家資格2級キャリアコンサルティング技能士 田た中なか淳じゅん子こ

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