エルダー2025年6月号
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エルダー13特集介護離職防止に向けて図表3 介護休業、介護休暇以外の介護両立支援制度※ 筆者作成制度内容対象外となる従業員労使協定①所定外労働の免除所定労働時間を超える労働を免除する要・勤続1年未満・1週間の所定労働日数が2日以下②時間外労働の制限法定労働時間を超える労働を1カ月24時間、1年150時間以内に制限する不要・勤続1年未満・1週間の所定労働日数が2日以下③深夜業の免除深夜(22時から翌日5時)の労働を免除する不要・勤続1年未満・深夜において対象家族を介護できる(以下のいずれにも該当する)16歳以上の同居の家族がいる ・深夜に就業していない ・けが、病気等で介護ができない状態ではない ・産前産後期間中ではない・1週間の所定労働日数が2日以下・所定労働時間の全部が深夜にある④所定労働時間の短縮等以下のa~cのうち一つ以上の措置を講じるa.短時間勤務制度b.フレックスタイム制度または始業・終業時刻の繰上げ・繰下げc.従業員が利用する介護サービスの費用の助成など要・勤続1年未満・1週間の所定労働日数が2日以下外とすることができましたが、2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法において撤廃されました。そのため、介護休暇は、入社してすぐから取得することができるようになりました。介護休暇の取得申請があった場合、年次有給休暇と異なり、会社には時季変更権がありませんので、業務に支障をきたすなどの事情があったとしても、申請を拒むことはできません。また、介護休暇の取得理由には突発的なものもありうることから、直前の取得申請であっても認める必要があります。なお、介護休暇の取得申請にあたり、対象家族が要介護状態であることなどを証明する書類の提出を求めることは可能ですが、介護休暇の取得の妨げとならないよう、事後の提出を認めるなどの配慮が必要です。その他の介護両立支援制度44育児・介護休業法は、介護休業、介護休暇以外にも、介護両立支援制度として、「所定外労働の免除」、「時間外労働の制限」、「深夜業の免除」、「所定労働時間の短縮等」という四つの制度を設けることを会社の義務としています。それぞれの制度の内容と、対象外となる従業員は図表3の通りです。いずれの制度も、要介護状態の対象家族を介護する従業員が対象ですが(「要介護状態」、「対象家族」の定義は、介護休業と同じ)、勤続1年未満の従業員と、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員はいずれの制度も対象外です(制度によって、労使協定の締結が必要な場合があります。図表3参照)。また、「深夜業の免除」においては、所定労働時間の全部が深夜にある従業員や、深夜に対象家族を介護できる同居の家族がいる従業員も対象外となります。「所定外労働の免除」は、「所定労働時間の短縮等」とあわせて利用することができますが、「所定外労働の免除」と「時間外労働の制限」は一緒に利用することはできません。2025年4月1日施行の育児・介護休業法改正の概要55このように、育児・介護休業法にはさまざまな介護両立支援制度が定められていますが、従業員がこれらの制度を十分に活用できなければ、結局は介護離職に至ってしまうことも考えられます。そこで、2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法では、介護離職の防止の観点から、仕事と介護の両立支援の強化が図られています。改正点の概要は図表4(14ページ)の通りです。①介護申出時の個別周知・意向確認従業員が介護両立支援制度の利用を申し出や

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