エルダー2025年6月号
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2025.614図表4 2025年4月1日施行の育児・介護休業法の改正点(介護関連のみ)※ 筆者作成制度新設または変更改正内容①介護申出時の個別周知・意向確認新設対象家族の介護が必要となったことを申し出た従業員に対し、介護両立支援制度等について個別に知らせ、制度利用の意向を確認する②介護に直面する前の早期の情報提供新設40歳到達時に、介護両立支援制度等についての情報提供を行う③介護両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備新設介護両立支援制度を利用しやすくするため、a~dのいずれかの措置を講じるa.介護両立支援制度に関する研修の実施b.介護両立支援制度に関する相談窓口の設置c.自社における介護両立支援制度の利用事例の収集・提供d.介護両立支援制度の利用促進に関する方針の周知④介護休暇の対象者の拡大変更労使協定により勤続6カ月未満の従業員を対象外とする規定を撤廃⑤在宅勤務等(努力義務)新設介護期に在宅勤務等を利用できるようにする周知する事項は、介護両立支援制度の内容、制度利用の申出先、雇用保険の介護休業給付金に関することの3点です。周知と意向確認の方法は、妊娠・出産等を申し出た従業員に対して育児休業等について周知・意向確認をする方法と同じく、面談、書面交付(従業員が希望する場合は、FAX、電子メール等も可)のいずれかです。②介護に直面する前の早期の情報提供従業員が突然介護に直面した際に初動に迷わないようにするため、また、介護に直面したときに会社に申し出やすくするために、会社は、従業員が40歳になるタイミングで、前述の介護申出時の個別周知事項と同じ内容を知らせなければなりません。40歳になると、介護保険料の徴収が始まることもあり、介護に関する制度についての関心が高まってくるため、このタイミングで介護両立支援制度等に関する情報提供を行っておくことが効果的だと考えられています。このときに、介護保険制度に関する情報もあわせて伝えておくとより効果的でしょう。40歳になるタイミングとは、40歳に達する日の属する年度の初日から末日までの期間または40歳に達する日の翌日から1年間のいずれかの期間をいいます。会社によって、管理しやすい方の期間内に実施すればよいでしょう。なお、すくするため、会社は、対象家族が要介護状態となったことを申し出た従業員に対し、介護両立支援制度等について個別に知らせ、制度の利用の意向を確認しなければなりません。毎年度全従業員に対して情報提供を行うこととしても差しつかえありませんが、40歳になる従業員には必ず情報が伝わるようにしましょう。この情報提供は、対象となる従業員から希望がなくても実施する必要があります。また、情報提供の方法は、基本的には介護申出時の個別周知・意向確認の方法と同様ですが、従業員が希望していなくてもFAX、電子メール等の方法をとることができる点が異なります。③介護両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備従業員が介護両立支援制度の利用を申し出やすくするため、会社は、図表4③のa~dのいずれかの措置を講じなければなりません。複数の措置を講じても差しつかえありません。相談窓口を設置する場合には、形式的に設けるだけではなく、実質的な対応ができる担当者を置き、従業員に周知するようにしましょう。④介護休暇の対象者の拡大⑤在宅勤務等(努力義務)介護休暇の対象者の拡大については、「❸ 介護休暇」(12ページ)で述べた通りです。また、対象家族が要介護状態にあり、介護休業をしていない従業員に対し、在宅勤務等(自宅や会社が認めた場所での勤務)を認めることが、会社の努力義務とされました。

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