エルダー2025年6月号
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2025.616図表2 介護に関する実態把握の項目例※ 筆者作成従業員の状況把握従業員の介護の可能性や状況□従業員の属性    □親の年齢    □親と同居・別居□現状の介護状況   □介護の将来の可能性(1年以内、3年以内、5年以内、その他)自社の両立支援に関すること□現状の両立支援の認知度      □両立支援の利用予定□両立支援を利用する上での不安   □両立支援への要望介護に関すること□介護に関する基礎知識の有無□介護全般に関する不安・要望介護経験者に対しての確認□現状の両立支援の利用経験     □現状の両立支援の使い勝手□必要だと思う両立支援自社の状況把握□現状の両立支援の利用率      □介護離職の状況アンケートを実施してもよいでしょう。仕事と介護の両立をするためには事前の準備がとても重要なので、いまは介護をしていない従業員に対して、今後の介護の可能性を具体的に、1~2年以内、5年以内、10年以内、意識したことがない、など調査をしておくとよいでしょう。次に把握した現状やニーズから両立支援の方向性を決めます。両立支援の方向性は、法律を超える制度を策定し制度の充実を図る方針、制度利用を促進する運用重視の方針、法律の支援制度にとらわれず予防から両立まで柔軟な制度を導入する方針など、把握した現状やニーズとほかの人事施策とのバランスを考えて決めていきます。また、支援策にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、方針に沿って検討し決定します。その後、導入を決めた支援策の策定作業を行い、従業員へ周知し、実施していきます。実施した後はモニタリングなどにより支援策の効果を検証しつつ、また、変化する従業員構成や企業環境、介護に関連する法律にあわせて、支援策を見直していきます。支援策の種類33仕事と介護の両立支援には、直接的な支援とうに進めていきます。まず、両立支援制度を策定する目的を確認・検討します。両立支援の目的は介護離職防止や仕事と介護の円滑な両立というだけではなく、介護をする従業員の働きやすさや今後の介護に備えた仕事と介護の両立を目ざす場合もあります。また、仕事と介護の両立をするという目的はあっても、まずは現状の把握をしてから、実態や課題を明確にしたうえで目的・目標を決めてもよいでしょう。両立支援制度の策定では自社の現状やニーズの把握をすることが重要です。すでに一度、現状把握をしても、状況は変わります。前回から一定の期間が経過している場合は実施した支援策の効果を含めて現状とニーズを把握しましょう。現状把握をしておきたい項目例は図表2の通りです。最近では、介護を隠すような雰囲気が少なくなってきましたが、個人差もあるので、アンケートをとる際はプライベートな情報に配慮します。アンケートでは、最初に現在の介護の状況、介護の可能性について確認し、その状況にあわせて設問を変えて設定すると効果的です。また、介護の可能性はあっても具体的な介護のイメージがつかない人が多い場合もあるので、アンケートだけではなく、仕事と介護の両立についてのセミナーなどの情報提供を実施したうえで

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