エルダー17特集介護離職防止に向けて図表3 支援の種類勤務支援情報提供その他の支援その他の支援環境整備仕事に関する支援介護に関する支援直接支援間接支援・介護休業 ・介護休暇・短時間勤務 ・在宅勤務・フレックスタイム勤務・短時間フレックス勤務・始業・終業時刻の繰り上げ下げ・時間外・深夜勤務等の制限 など・職場の雰囲気づくり・休業後の復職支援・再雇用制度・業務体制の見直し (業務分担、在宅環境の整備) など・生活保障(休業・休暇時の給与補填)・費用補填 (ヘルパー、住宅、見守り)・ヘルパー派遣・介護用品の現物支給 など・情報提供 (セミナー、イントラ、冊子)・個別相談 など・相談体制づくり・休業中のバックアップ など※ 筆者作成して、勤務支援、環境整備、情報提供があり、間接的には仕事に関する支援のほか、介護に関する支援があります(図表3)。支援策は、勤務に関する支援が中心となりますが、今回の法律の改正では情報提供や環境整備の支援が義務づけられました。具体的には、企業に対して、介護に直面した従業員へ個別に、介護休業をはじめとする仕事と介護を両立するための勤務支援制度を周知し、制度利用の意向確認を義務づけています。そして、介護保険の被保険者となる年齢である40歳の従業員を対象に早期情報提供ということで、介護に直面する前から介護に関する両立支援制度の周知などを義務づけました。このほか、仕事と介護の両立を円滑にするために相談窓口の設置や、両立に関する方針の周知などの職場環境の整備も義務づけられました。このような法律の改正内容をみても、仕事と介護の両立を実現するためには運用面での情報提供も重要であり、介護に直面する人のほか、将来の仕事と介護の両立のために事前の準備も求められています。支援の選択とメリット・デメリット4418ページ図表4は、支援策のメリットとデメリットを企業と従業員の立場でまとめました。どんな支援策にもメリットだけではなくデメリットもありますので、両立支援の方針や会社の状況にあわせて検討していきます。勤務支援55勤務支援は、従業員にとっては選択肢が多いと柔軟な働き方ができる可能性が高くメリットが多いですが、企業からみると制度を運用するむずかしさや周囲の従業員の理解度・納得度、業務負担の解消などの問題があります。また、交代勤務などがある製造業などが、多様な勤務支援制度を導入するためには根本的な業務や組織の見直しが必要な場合も多く、そもそも多様な勤務支援を導入するのがむずかしい場合もあります。支援制度のなかでは休暇を有給にしたり、新たな人材の確保をする場合は人件費の増加にもつながります。勤務支援のうち未消化分の年次有給休暇を積み立てる積立年次有給休暇は、私傷病など介護にかぎらず利用できるようにすれば、介護しない従業員との公平性が比較的保たれ、納得度も高くなります。介護休業を法律で定められた期間より長くする場合は、法律で決められた休業期間を超えた
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