エルダー23特集介護離職防止に向けてあわせ推進室にいつでも相談できることと、必要なサポートを一緒に考えていくということを伝えている。育児支援から得られたノウハウを活かし育児支援から得られたノウハウを活かし気持ちよく働ける職場環境づくり気持ちよく働ける職場環境づくり両立支援を円滑にするには、制度のみならず、職場環境も重要となる。たねやグループの育児支援の取組みでは、短時間勤務制度や育休中のリモート保育園など、充実した制度があるが、例えば、短時間勤務制度は、9時から16時までの勤務となるように利用する従業員が多いという。ところが、百貨店の売場では夕方からお客さまが増えてくるので、人を増やしたい時間帯に人員が減ってしまう状況となり、ほかの従業員にかかる負担が重くなっている現場もあるそうだ。しあわせ推進室では、子育てをしながら短時間勤務をしている80人ほどの従業員にリモート説明会を開催し、育児をしながら仕事をするためのいろいろな応援制度が会社にあるという説明をあらためてすると同時に、そのことに関して、現状としてほかの従業員の負担が増している現場があるということを、役員を交えて報告した。すると、保育園の送り迎えを家族で話し合い、「この日は遅番でも大丈夫です」といった柔軟な働き方を申し出る人も出てきたそうだ。の定年を迎える前に、これまでのねぎらいとこれからも仕事を続けていただきたいという会社の思いを伝えるために始めました。初年度は55歳から60歳までの従業員を対象として、2回に分けて開催し、あわせて50人ほどが受講しました。産業医から健康に関する講話を、人事部から定年後の働き方と賃金の話を、また、ファイナンシャルプランナーを招いて55歳以降のお金のあれこれについて学び、自分や親の介護でどれくらいの費用がかかるのかといったお話もしていただきました」丸一日のスケジュールで開催されたこのセミナーは、好評なうえ、同年代の従業員が久しぶりに再会する機会となり、健康談義に花が咲くなどして「同世代と話せる機会が持てたこともとてもよかった」という感想も聞かれたそうだ。「『みらい学』というネーミングは、『行ってみたい』とか『行ってみてよかったから人にすすめたい』と思うネーミングと内容にしようという発想から生まれました。55歳は定年が近づいてくる年齢ですが、まだまだ働きたいと思っている人がほとんどだと思い、55歳から先の未来をあらためて考えてもらうセミナーにしたい、そんな思いを込めて名づけました」このセミナーでは、具体的な介護の話は盛り込まなかったものの、困ったことがあれば、し両立支援を円滑に行うには、「お互いさまの気持ちで働けるように協力しあう職場環境づくりが大事」と田原室長は強調し、育児支援の取組み経験を、今後、介護をしながら働く人への支援にも活かしていきたいと話した。しあわせ推進室ではこのほか、睡眠をテーマにした健康教室を開いたり、肩こり解消の体操を習ったり、女性のヘルスケアについて学ぶといった、元気に働いている従業員がこれからも元気でいられるようにサポートする健康教室やセミナーを工場など各拠点で開催している。しあわせ推進室はいまでは社内でも浸透してきており、「相談だけではなく、『こんなことがありました』、『こんな人がいますよ』と、働いている部署のよい話も聞こえてくるようになりました。よい話はどんどん発信して社内で共有します。取り上げられた部署にとってはモチベーションアップになるでしょうし、ほかの人たちにとっては、ほかの部署のことを知る機会になります」と笑顔で語る田原室長。「なんでもいってね」、「いつでも話を聞かせてね」と全従業員に呼びかけ、聞いた話に対して責任を持って関係部署と連携し対応を図るしあわせ推進室は、今後、介護をしながら働く従業員にとっても、たねやグループにとっても大きな存在であることは間違いないだろう。
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