エルダー2025年6月号
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2025.626きっきりとなると、日数が足りるとはいえないものの、通院を含め、ほかの家族と協力しながらの介護を想定し、法定の介護休暇や介護休業、さらに年次有給休暇もあわせて活用してもらうことを想定している。現在、仕事と家族の介護の両立を続ける本社勤務のマネージャー職の社員がおり、介護のさまざまな用事に対して、1日、半日、1時間の休暇を柔軟に取得しながら、仕事との両立を図っているそうだ。通院の送迎とつきそいであれば半日休暇をとり、ケアマネージャーが訪問するときは予定の時間だけ休みを取得する。一方、通院先であったり、介護施設を探すための情報収集などにはかなり時間が必要となり、役所や関係各所を回らなくてはならないので、そういう場合は1日の休みを取得しているそうだ。実際に仕事と介護の両立を体験した社員からは、ファミリーサポート特別休暇をはじめとする同社の制度について、次のような声が上がっている。・病院や施設とのやりとりなど、介護に直接的にかかわる目的ではなくても運用の自由度が高いので、休息や余暇にもあてられることで心身の健康を保てる。・10時出社OK。16時退社OKのフレックス制なり、いまでは取得用途の第1位になっているそうだ。2位は子どもの看護、通院、学校行事、3位は体調不良(本人、親以外)、4位は親の介護、通院となっている。最近では親の病院のつきそいでの取得理由が増加傾向にあり、全体的に社員の年齢が上がってきていること、いままでは年次有給休暇を利用して家族の介護をしていた社員が、ファミリーサポート特別休暇を活用しているのではないかと、同社では分析している。なお、ファミリーサポート特別休暇の取得にあたっては、年次有給休暇を当年度に5日以上取得していることを条件としている。以前はこうした条件を設けていなかったが、ファミリーサポート特別休暇の有効期限は1年のみで毎年リセットされることから、2年が有効期限である年次有給休暇よりも、先に取得されやすい。そうなると、5日間の年次有給休暇取得義務を果たせなくなる可能性もあることから、ファミリーサポート特別休暇取得のための条件に、当年度での年次有給休暇5日以上の取得を加えた。実際に仕事と介護の両立に実際に仕事と介護の両立に取り組む社員の声取り組む社員の声ファミリーサポート特別休暇では、最大で年間9日の休暇を取得できるが、毎日介護につ的で取得することができる有給の特別休暇だ。家族の範囲は、2親等以内の親族のほか、同居人や同居するペットも含まれる。「ファミリーサポート特別休暇は2011年から開始した取組みで、当初は2親等以内の家族の学校の送迎や各種行事、介護や災害発生時など、取得用途が限定されており、実質的に子ども関連の理由で使われることが多い休暇制度となっていました。しかし、家族にもさまざまな形があり、子どもがいない人、高齢の親がいる人なども含め、どの世代でも男女問わず使えるような休暇にしようと、対象者や取得理由の見直しを行ってきました。現在では同居するパートナーやペットまで対象を広げて、用途は広がってきています」ファミリーサポート特別休暇は、それ以前に夏季休暇を従業員が各自で日程を選んで取得する特別休暇を、さらに自由な用途で使えるように見直したことで発足した。家族や子どもの有無にかかわらず、(正社員で週5日勤務の場合)最大年9日の有給休暇を時間単位で取得できる仕組みとして整備している。こうした制度の見直しにより、おもに子どもの用事で使われていた休暇制度が、より身近で利用しやすい休暇制度に変わっていった。現在は社員自身のリフレッシュにも使われるように

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