エルダー2025年6月号
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伍魚福の「エンターテイニングフード」(写真提供:株式会社伍魚福)エルダー29特集介護離職防止に向けて図表 伍魚福エンターテイニングスパイラル※資料提供:株式会社伍魚福ればお客さまがおもしろくなり(喜び)、会社もおもしろくなる(成長する)、このサイクルをくり返し、改善を図ることで、組織全体の生産性や収益性を着実に向上させ、それにより待遇改善が可能になり、従業員・家族がおもしろく(幸せに)なるという、理念体系である。このエンターテイニングスパイラルの一環として、従業員の人生を豊かにするために、同社ではワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んでいる。かつて、同社はワンマン経営であり、従業員伍魚福版「三方よし」の一角である伍魚福版「三方よし」の一角である従業員の人生を「おもしろく」する従業員の人生を「おもしろく」する同社の定年は60歳、希望者全員を65歳まで嘱託社員として再雇用する。65歳以降は時給制のパート社員に移行し、現在は70歳を上限としているが、延長も検討中だ。従業員79人のうち、正社員が42人(男性25人、女性17人)、嘱託社員が2人、パート社員が35人(男性8人、女性27人)。60歳以上の従業員は、60〜64歳11人、65〜69歳7人(2025年4月1日時点)となっている。同社では、2007年にまとめた中期計画のスローガンに、「神戸で一番おもしろい会社になろう!」を掲げ、2009年に「伍魚福クレド」(行動指針)を策定した。「1 すばらしくおいしいものを造り、お客様に喜ばれる商いをする」、「2 仕事を通じてお互いに共感をもたれる商いをする」、「3 仕事を通じて人格の向上に喜びを感じるようにする」、「4 神戸で一番おもしろい会社になろう!」、「5 全員がヒット商品の開発者になろう!」の五つの行動指針を中心に、「伍魚福エンターテイニングスパイラル」(図表)を示し、その実現を目ざしている。「エンターテイニングスパイラル」とは、従業員満足度と協力会社、財務の、いわば伍魚福版の「三方よし」。商品がおもしろく(よく)な田店」をオープンし、2022年12月に「伍魚福オツマミドコロ神戸三宮」をオープンするなど、着実な成長を続けている。関西地域限定の土産品の販売も行っており、看板商品である「いかなごのくぎ煮」は、神戸周辺の漁師町において親しまれてきた郷土料理を同社が商品化したもの。近年はいかなごの供給が減少して価格が高騰し、庶民の味が希少化しつつあるなか、地域の食文化を継承していくために、同社が事務局となり「いかなごのくぎ煮振興協会」を設立し、文化の継承活動を行っている。

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