エルダー2025年6月号
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2025.630は、女性従業員の増加に起因している。「酒販店で商品を販売していた時代、おもな購買層は男性でした。しかし、2000年ごろからスーパーで商品を展開するようになり、いまではスーパーやコンビニエンスストアでの販売が過半数を占めています。こうした変化にともない、商品デザインにあたっては女性を意識した方向性に転換するため、20年ほど前に女性のデザイナーを採用しました。そのデザイナーが活躍し、育児休暇や短時間勤務、介護休暇などが必要になったことから、各種制度を整備し、希望するだれもが利用できる環境を整えてきました。従来、物流や事務部門のパートタイマーとしては多くの女性が活躍していましたが、正社員として、栄養学を学んだ女子学生が求人に応募してくれるようになり、女性の正社員が増加しています。出産・育児で離職せず、育児休業から復帰する人も増えています」(山中社長)介護休暇の取得者数は、2022年度17人、2023年度15人、2024年度13人。取得する年代や属性は幅広く、若い世代の利用もある。特に要介護者の施設入所にあたっては、さまざまな用事が発生するので、時間単位で取得できる介護休暇が活用されている。経理・総務チーム副責任者課長の川かわ口ぐち雄ゆう太たさんは、「通院時のつきそいには、介護休暇を時間は残業が多く、有給休暇も取りにくい環境だったという。この状況を改善するため、採用を強化し人員増を図るとともに残業を減らす取組みとしてICカードを用いた勤怠システムを導入し、残業時間を正確に把握。その削減に取り組んだ。そして、年次有給休暇の取得を促進するため、年次有給休暇のうち5日は1時間単位で取得できる制度を導入、短時間ですむ用事などにも利用できるようにしたほか、年に1回5〜7連休を取得する制度も導入。その結果、年次有給休暇取得率は、2014年度の39・99%から、2024年度では75・04%と大きく改善した。さらに、時差出勤制度を導入し、午前7時から10時の間は30分刻みで出勤時間を選べるようにするなど、社員がそれぞれの事情に合わせて柔軟に働ける仕組みを整えている。従業員個別のニーズを把握し従業員個別のニーズを把握し有給で利用可能な介護休暇制度を整備有給で利用可能な介護休暇制度を整備同社では、2020年度から有給で利用できる介護休暇を導入。2022年度からは時間単位での取得も可能としている。介護が必要な1人に対して年間5日、最大で年間10日が付与される。そのほか、介護を目的として活用できる制度は、短時間勤務制度や在宅勤務制度がある。仕事と介護の両立支援に関する制度の導入単位で取得し、遅く出社したり、早めに退社する社員もいます。フルタイムの社員は1日8時間勤務ですが、必要な時間だけ時間単位で取得すれば、何日にも分けて利用することができます。課題としては、介護は家庭の事情によるところがあるので、職場でオープンにして共有するわけにもいかず、介護休暇で休む際に、仕事のしわ寄せが周りに行き、状況がわからないだけに納得を得られない人が出てくる可能性があることです。そこは配慮が必要かと考えています」と語る。同社では、これまで家族の介護が原因で社員が介護離職に至ったケースはない。これはワーク・ライフ・バランスを実現できる柔軟な勤務体系が、自ずと介護離職の防止対策になっているとみられる。親の将来を含めて「人生設計」を作成親の将来を含めて「人生設計」を作成介護をする将来と働き方を見すえる介護をする将来と働き方を見すえるまた、介護を大きなスパンでとらえ、人生設計においてキャリアと介護の両立を考えるためのきっかけの提供に努めている。同社では、2011年から毎年、一人ひとりが人生設計(ライフプラン)を作成している。その目的は「より良い人生のために、より良い仕事をする」こと。そのために本人の気づきをうながし、人生の目標とその実現に向けて、仕事でチャレンジ

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