エルダー31特集介護離職防止に向けて取組みの一環として、2024年に健康経営優良法人の認定を受けている。「健康経営優良法人に申請するにあたり、すべての項目においてあらためて何かをする必要もなく、ベースができていました。時差出勤、時間単位年次有給休暇はすでに実施しており、健康診断の面では女性特有のがん検診を毎年会社負担で行っています。禁煙の取組みでは、喫煙時間を休憩扱いにし、午前中は全面禁止にすることで、喫煙頻度が確実に減少しました。また、毎朝出社後にラジオ体操を実施しています。ラジオ体操は朝のスイッチとして効果があり、従業員の健康に寄与しています。社内で行っているPDCAに則って、健康経営においても計画、実行、評価、改善を回し、2025年度は上位500社のブライト500認証を目ざします」(川口課長)また、従業員のエンゲージメントおよび従業員満足度を高めるために、半年に1回のディープサーベイ※、毎月1回のショートサーベイや気力のチェック、ストレスチェックを行っている。調査結果は従業員の声として活用し社内改善に活かす。さらに、社長に直接提案と報告を行う制度(提報)を20年以上運用しており、社内の環境改善や、従業員の働き方におけるニーズの吸い上げすることを明確化することにある。ライフプランシートには、本人と家族の年齢を記し、本年、3年後、5年後、10年後、20年後、30年後の目標およびプランを考える。結婚、子どもの誕生、家の購入など、大きなライフイベントはもちろん、家族にまつわるできごととして親の世話や子どもの教育、あるいは仕事におけるできごとやボランティアなど社会にかかわるできごとに至るまで、自分と家族の将来を思い描いてプランを立てる。「頭の中で漠然と考えてはいるものの、表にして目にするとあらためて気づくことも出てきます。年表を見れば、親が歳をとることもわかり、いずれ親に育児の手助けを求めることや、介護についても考えておくことができます。このシートを元に、年に1度は深く考えることが大切です。年に1度、経営計画の発表会の場で、従業員全員がライフプランのなかで、周りと共有できることを色紙に書き出して発表しています」(山中社長)若いころは、思いおよばないものだが、こうした取組みが、数十年後、親の介護が必要になる将来について気づきを得る機会になっている。ワーク・ライフ・バランスを実現するワーク・ライフ・バランスを実現する健康経営健康経営®®(★)(★)の取組みと社内改善の取組みと社内改善同社では、ワーク・ライフ・バランス実現のにつながっている。また、商品アイデア提案制度があり、毎月1件の提案につき100円を支給する仕組みで、さらにグループ表彰や皆勤賞を導入し、アイデアをより多く得るよう参加を促進している。なお、商品開発の提案では優れたものは商品化されており、大ヒット商品がこの制度から生まれている。最後に山中社長は、「伍魚福がよいスパイラルを自ら回すだけではなく、日本の食品業界のよいスパイラルの起点となることを目標にしています。SDGsに関連した取組みを展開するとともに、おもしろい会社を目ざし、社会に役立つ存在であり続けたいと思います。特に地域社会や協力企業との関係を通じて、日本中でよいスパイラルを生み出すきっかけになることが目標です」と先を見すえた取組みを語られた。従業員の声を細やかにくみ上げる施策により、ニーズを迅速に制度化するなどの社内改善活動を行っている同社。介護の負担を負う従業員に柔軟な勤務ができる労働環境を用意し、自ずと介護離職を防いでいるようだ。商品を通じて顧客に喜びや楽しさを提供し、この先、介護にかかわる社会の変化が生じても、スパイラルアップの理念体系で対応していく。★「健康経営Ⓡ」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。※ディープサーベイ……従業員の心身の状態や組織の状況を把握するために行う調査
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