2025.62株式会社カクヤスグループ 取締役兼CHRO篠崎淳一郎さんら65歳に延長しました。人事制度改定のねらいについて教えてください。篠崎 当社は2019年12月に東京証券取引所スタンダードに上場し、翌2020年に中期の人材戦略方針を策定し、そのなかで今後の人事の課題を抽出しました。当時はコロナ禍を経て、社会全体が人口減少や価値観の変化が進み、転職市場が活発化している時期です。当社は一定の採用数を確保しているものの、職種によっては今後厳しくなり、よりいっそうの採用難や早期離職も予想されました。今後も成長を続けていくためには、採用力の強化と人材の定着、社員の能力開発が課題であることがはっきりし、その解決を図っていくために人事制度を改定しました。 改定のポイントは、①役割に応じた等級の設定・評価を行う、②キャリアアップや成長実感のある制度、③管理職や専門職キャリアをより早い段階から描ける、④多様性の推進、この四つです。―最初に、貴社の事業内容と社員が従事する職種や業務について教えてください。篠崎 当社は酒類をはじめとする食料品の販売および卸売事業を行っています。旗艦店である「なんでも酒やカクヤス」を拠点に、飲食店と一般のお客さまに対し販売を展開することで、商圏エリアの配達量を増やし、短時間でお届けできるよう効率的な配達サービスの実現を目ざしています。 社員の職種は店舗の販売職、物流系のトラックドライバー、飲食店のお客さま担当の営業職の三つに分かれています。社員数は、店舗の販売職が約560人、物流系が約600人、営業職が約200人、加えて商品開発やマーケティング、人事などの管理部門を含めて約2000人です。このほかに店舗などで3000人超のアルバイトが働いています。―貴社では、2023(令和5)年10月に人事制度の改定と同時に、定年年齢を60歳か以前も等級制度はありましたが、要件が現場の実態に合っていないのであらためて役割に基づいた要件を定義するとともに、2等級しかなかった非管理職層の等級を4段階に区分することで、成長実感を持てるような仕組みに変えました。販売や物流のように、職場が固定されていると、自分が成長しているのか見えにくい面もあります。そこで、新人の「J1(大卒)」と熟練の「J2」等級、主任・リーダー職の「L等級」、課長代理の「M0等級」を新たに設け、さらに実力次第でJ2からM0等級に“飛び級”での昇格も可能にし、キャリアアップや成長実感を持てる形にしました。M0等級を設けたのは、課長になるための訓練期間として課長層を厚くしたいという思いもあります。―管理職を目ざすだけではなく、専門職として活躍したい人のコースもあるそうですね。篠崎 管理職層の「M1(課長)」、「M2(部長/次長)」、「M3(執行役員)」以外に、プロフェッショナル職として「P0(課長代理相当)」、課長職相当の「P1」と部長職相当の「P2」の三つを設けています。管理職ではなく販売のプロ、営業のプロ、あるいは財務、マーケティングのプロを目ざしたいという人もいるでしょう。そこでP0等採用力の強化と人材の定着を目ざし成長実感のある人事制度に改定
元のページ ../index.html#4