エルダー2025年6月号
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などを理由として、解雇その他の不利益取扱いを行った場合も、同様に不当労働行為に該当します(同法第7条第4号)。したがって、団体交渉の継続中については、使用者としては、団体交渉には誠実に応じなければならないうえ、不利益取扱いについても制限を受けている状態になります。団体交渉の対象は、労働条件その他団体交渉に関する手続やルールなどは義務的団体交渉事項とされており、これを使用者が拒むことはできず、誠実交渉に応じる必要があり労働組合との団体交渉1労働組合法は、労働組合との団体交渉について、使用者に誠実交渉義務を課しており、これに違反する場合には、不当労働行為(同法第7条第2号)として、労働委員会への救済命令申立てにつながるほか、訴訟上で不法行為として損害賠償請求の原因になることもあります。また、労働委員会への申立て等をしたこと原則として、再雇用を拒絶することは適切ではない対応となります。ただし、交渉に付随する行動を理由として、客観的かつ合理的な理由および社会通念上の相当性が認められることもあります。A団体交渉を継続しているなかで、再雇用を拒否することが可能なのか知りたい定年後の労働条件について、当事者間では折合いがつかず、労働組合を交えた団体交渉に応じています。会社として団体交渉には誠実に応じていこうと思っているのですが、当該社員が団体交渉の経過において会社の機密情報を必要以上に組合に共有したり、対外的にも事実と異なることを取引先にも伝えたりしており、定年後の再雇用を継続することがむずかしいと考えるようになりました。団体交渉が継続しているような状況で再雇用を拒絶することは可能なのでしょうか。Q1第84回 団体交渉中の再雇用終了、偽装請負に基づく労働契約の成立 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲/弁護士 髙木勝瑛2025.640知っておきたい労働法A&Q

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