「生涯現役社会」に向け、ミドル・シニア世代の“学び直し”が注目されています。しかし、 「生涯現役社会」に向け、ミドル・シニア世代の“学び直し”が注目されています。しかし、 その重要性は理解しつつも「勉強のやり方がわからない」、「モチベーションが続かない」と その重要性は理解しつつも「勉強のやり方がわからない」、「モチベーションが続かない」と いう人は多く、ミドル・シニアを雇用する企業でも、いかにして学び直しを促進するか模索いう人は多く、ミドル・シニアを雇用する企業でも、いかにして学び直しを促進するか模索が続いています。そこで本連載では、1万人の脳を診断した脳内科医・医学博士として、脳が続いています。そこで本連載では、1万人の脳を診断した脳内科医・医学博士として、脳を鍛える方法などに関する著書も多く執筆されている加藤俊徳先生に、脳の機能や加齢に を鍛える方法などに関する著書も多く執筆されている加藤俊徳先生に、脳の機能や加齢に よる変化、ミドル・シニアの学びのポイントなどについてお話しいただきます。よる変化、ミドル・シニアの学びのポイントなどについてお話しいただきます。10代と50・60代の脳の違いとは?株式会社脳の学校 代表/加藤プラチナクリニック 院長 加か藤とう俊とし徳のり第1回新連載2025.644脳は一生成長し続ける脳は一生成長し続ける「年齢とともに体力が低下するように、脳も衰える」と考えている方は多いと思いますが、それは違います。脳の成長は、いくつになっても右肩上がりです。私自身は約20年前に『老化に挑む』というタイトルのテレビ番組の監修にたずさわり、100歳以上の元気な高齢者の事例を見たときに確信しました。100歳になっても、新しいことを学ぶことはできるのです。100歳で学べるということは、それを支えている脳の仕組みがあるということです。実際、「超ちょう頭とう頂ちょう野や」と呼ばれる脳の部位は、人間だけに備わった、情報を分析して理解するときに働く高次脳機能を司り、40代で成長のピークを迎えます。実行力や判断力を司る「超ちょう前ぜん頭とう野や」のピークは50代。脳が一生成長し続けることは、脳科学的にも明らかになっています。脳の成人式は脳の成人式は3030歳歳人の身長は20歳ぐらいまで伸びますが、身長が伸びると同時に頭も大きくなります。頭が大きくなるということは、脳みそが増え、重くなるということ。脳の重量は、女性だと16~18歳、男性で20歳ぐらいまでにピークになります。つまり10代では毎日、脳が大きく重くなっているのです。脳の量が増えていく期間です。20歳までは、脳の基本的な仕組みがつくられる時期で、20歳を超えたあとは、量は変わらず「質」をよくすることで脳が成長します。脳が構造上「大人になった」という状態になるのは30歳ぐらいです。つまり「脳の成人式は30歳」ということです。では、脳の「質」とは何かというと、脳の中のネットワークです。神経細胞と神経細胞のネットワークで、私はこれを「脳の枝ぶり」と呼んでいます。脳のネットワークの質を高め、枝ぶりをよくする仕組みは、50・60代になっても、100歳になっても変わりません。「脳の枝ぶり」がよくなり「脳の枝ぶり」がよくなり脳は成長する脳は成長する脳の中で、高次脳機能を生み出す場所は「大だい脳のう」と呼ばれます。大脳は神経細胞でできた「皮ひ質しつ」で覆われていて、内側には神経線維でできた「白はく質しつ」があり、この白質が皮質同士をつなぐ役割をになっています。人が何かを見聞きして脳に情報を取り入れる
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