エルダー2025年6月号
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エルダー30人、40代が約500人と多く、いずれ60歳を迎えます。年齢に関係なく、また男性・女性に関係なく活躍してほしいという思いが、制度改定の背景にあります。定年延長後は60歳以降、評価、賃金、勤務形態、異動などの条件を含めて、正社員と変わらない処遇になります。従来の再雇用制度では、賞与もなく、給与も現役時代の20~25%程度減っており、そこに対する不満が当初からありました。加えて当社の退職金制度は、2007(平成19)年に前払い型の確定拠出年金(DC)制度を導入しており、前払いで受け取る、あるいはDCへの拠出も可能な選択制なのですが、定年を迎えた際にまとまったお金がもらえず、生活に困るという声もありました。 一番の課題は、本人のモチベーションの低下と周囲の対応の混乱です。旧再雇用制度では、当初は評価制度の対象にしていなかったことから、現場から「どうマネジメントすればよいかわからない」という声があり、その後、再雇用社員も評価制度の対象としましたが、「同じ仕事をやっているのに給与が違う」という不満が生じたり、一方の再雇用社員を管理する管理職も、「かつての先輩に対し、現役社員と同様の仕事の指示を出してもよいのか」と、かなり悩んだりしていたようです。こうした点をふまえて、60歳以降も正社員と同様の評価・処遇制度を適用することで、高齢社員のモチベーションを維持し、現役と同じように会社の貴重な戦力として活躍してほしいと考え、定年を延長しました。―65歳までの間に本人が定年年齢を選択できる選択定年制とした理由は何でしょうか。篠崎 定年延長を検討する際、「65歳まで働く人は多いとしても、なかには途中で働き方を変えたい、ほかの好きな仕事をしたいという人もいる。そうなると雇用保険上の扱いは自己都合退職となり、不利益を受けるのではないか」という意見もあり、満60~65歳の間で定年を選択できるようにしました。級を新たに設け、本人の希望をふまえて、上司の推薦などによってP0に昇格できる道をつくりました。ただ、いったん専門職コースに進んでも仕事をしていくうちに管理職になりたいと思う人もいると思うので、その場合はスイッチできるようにしています。―定年延長の目的や背景について教えてください。篠崎 目的は人事制度改定のポイントの一つである、多様性の推進と人材の確保です。当社の社員構成を見ると、現在は50代が約33高齢社員のモチベーションの維持・向上に向け65歳を上限とする選択定年制を導入

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