エルダー2025年6月号
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2025.648とする企業は減少傾向にあり、代わって定年年齢を65歳とする企業が増加傾向にある。後者の高年齢者雇用確保措置は2013年に改正された高年齢者雇用安定法(以下、「高齢法」)で導入された。その改正高齢法では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう事業主に義務づけている。2023年の「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果によれば、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は報告した企業全体の99・9%となっている。高年齢者雇用確保措置の措置内容別の内訳についてみると、大企業(常時雇用する労働者が301人以上)では「継続雇用制度の導入」による実施が81・9%を占め、中小企業(同21~300人)の68・2%を上回っている。一方、「定年の引上げ」(大企業17・4%、中小がえる。さらに、2022年の「就労条件総合調査」(厚生労働省)でみると、定年制を定めている企業は94・4%であった。2007(平成19)年、2012年、2017年の同調査においても、9割以上の企業が定年を定めていた。定年制の定め方としては、定年制を一律に定めている企業が96・9%であった。定年制を職種別に定めている企業は2・1%、定年制をその他の方法で定めている企業は0・6%であった。2007年、2012年、2017年においても、9割以上の企業が定年制を一律で定めていた。また、一律定年制を定めている企業のうち(2022年の同調査を参照)、定年年齢を60歳としている企業は72・3%、65歳としている企業は21・1%、定年年齢を61~64歳としている企業は2・6%、66歳以上としている企業は3・5%であった。経年推移をみると、定年年齢を60歳企業の高齢社員(60歳前半層)の雇用状況1企業の60歳前半層(「高齢社員」)の雇用状況については、定年制の状況と高年齢者雇用確保措置の二つから整理すると以下のようになる。前者については、2023(令和5)年の「高年齢者雇用状況等報告」(厚生労働省)によれば、企業における定年制の状況について定年年齢別にみると、大企業、中小企業とも「60歳定年制」の企業の割合が65%以上を占めて最も大きく、特に大企業では77・2%の割合を占めている。また、60歳定年企業における定年到達者の動向をみると、87・4%の者が継続雇用されており、継続雇用を希望しない定年退職者は12・5%、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者は0・1%となっている。定年到達者の9割近くが同じ企業で継続雇用されていることがうか特別寄稿玉川大学経営学部 教授 大おお木き 栄えい一いち事例にみる大企業の高齢社員事例にみる大企業の高齢社員((6060歳前半層)歳前半層)の戦力化の現状と課題の戦力化の現状と課題~業界における代表的な大企業~業界における代表的な大企業1010社に対するヒアリング調査結果より~社に対するヒアリング調査結果より~

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