2025.652全有効回答労働者(n=10000人)に2020年3月時点の就業状況について尋ねると、「現在の勤め先※1で、働いていた」割合は63.9%で、「現在の勤め先以外で、働いていた」が22.2%、「現在の勤め先で、働いていた(が1度退職し、再就職した)」が4.7%、「当時は働いていなかった」が9.2%となった。 その上で、全有効回答労働者のうち、「2020年3月以降」に定年を迎えた「定年後の再雇用社員」(=2020年3月当時はパート・有期雇用労働者でなかった者)と、2020年3月「当時は、働いていなかった」者を除く全員(n=8705人)に、約3年半前の2020年4月以降、自身に新たに支給・適用された待遇や労働条件※2の有無について尋ねると、何らか「あった」割合は30.8%で「特に変化はない」が69.2%となった。同様に、2020年3月以前から支給・適用されていたが、2020年4月以降に増額・改善された待遇や労働条件の有無についても尋ねると、「あった」割合は13.6%で「特に変化はない」が86.4%となった。なお、上記のいずれかが「あった」とする割合は、34.5%と算出された。 2020年4月以降、自身に新たに支給・適用された待遇や労働条件が「あった」場合(n =2677人)に具体的な内容をみると(複数回答)、「賞与・ボーナス※3」(36.8%)が最多で、次いで「通勤手当(交通費支給を含む)※4」(29.9%)、「定期的な昇給制度※5」(24.0%)、「時間外、深夜・休日労働に対する手当(割増率を含む)※6」(19.4%)、「特定の日に勤務したことに対する手当※7」(13.6%)、「その他(前の選択肢以外の、待遇・労働条件)」(8.9%)、「慶弔休暇」(8.3%)、「病気休職」(7.8%)、「退職金、退職手当」(6.1%)などがあがった。 同様に、2020年3月以前から支給・適用されていたが、2020年4月以降に増額・改善された待遇や労働条件が「あった」場合(n=1182人)の具体的な内容としては(複数回答)、「定期的な昇給制度」(22.2%)が最多で、これに「その他(前の選択肢以外の待遇・労働条件)」(19.2%)、「賞与・ボーナス」(15.1%)、「通勤手当(交通費支給を含む)」(10.2%)、「時間外、深夜・休日労働に対する手当(割増率を含む)」(9.9%)、「特定の日に勤務したことに対する手当」(9.5%)、「勤続年数に応じて支給される手当」(7.0%)、「前の選択肢以外の、福利厚生」(6.9%)などが続いた。いずれも、いかなる待遇差が不合理なものであるか(ないか)等についての具体例を示した「同一労働同一賃金ガイドライン」等で、同一の支給や相違に応じた支給等が規定された待遇要素が上位にあがっている。この点、(均衡・均等待遇の直接的(強行的)な法規制自体は旧パートタイム労働法の2007年改正で開始され、職務の内容や人材活用の仕組み等が同一でない場合の「不合理な労働条件の禁止」についても労働契約法の同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査(労働者Webアンケート調査)結果(2025年3月27日公表)2020年4月以降の待遇や労働条件の変化正規労働者と非正規労働者の間の不合理な待遇格差の解消に向け、2020(令和2)年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」、「改正労働者派遣法」が施行されるとともに、同一労働同一賃金ガイドラインが策定されました。定年後再雇用となった嘱託社員など、高齢者雇用においてもこの同一労働同一賃金を遵守することが求められます。今回は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した、「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査(労働者Webアンケート調査)結果」から、一部を抜粋して紹介します(編集部)。<調査対象・調査方法>インターネット調査会社の登録モニターを対象に、2023年9月5日〜13日に調査を行い、国内在住かつ国内企業に勤務する、満15歳以上のパートタイム・有期雇用労働者(定年後の再雇用社員、派遣労働者を含む)計10,000人の有効回答を、性別・年齢層別に層化割付回収した。独立行政法人労働政策研究・研修機構※1 派遣労働者の場合は、「派遣元の会社(派遣会社)」について回答するよう注釈した ※2 いずれの待遇・労働条件も、自身を含めた全体の制度改定を含むと注釈した※3 「同一労働同一賃金ガイドライン」で、雇用形態を問わず、同一の職務内容や貢献度に対しては同額を支給しなければならない。また、貢献に一定の相違がある場合でも、その相違に応じた賞与を支給しなければならないなどと規定している※4 通常労働者と同一の通勤手当等を支給しなければならないなどと規定している ※5 例えば、昇給であって労働者の勤続による能力の向上に応じて行うものについて、通常労働者と同様に勤続による能力が向上したパート・有期雇用労働者には、勤続による能力の向上に応じた部分につき、通常労働者と同一の昇給を行わなければならない。また、勤続による能力の向上に一定の相違がある場合でも、その相違に応じた昇給を行わなければならないなどと規定している ※6 通常労働者と同一の割増率等で、時間外労働に対して支給される手当を支給しなければならないと規定している ※7 通常労働者と同一の勤務形態で業務に従事するパート・有期雇用労働者には、通常労働者と同一の特殊勤務手当を支給しなければならないなどと規定している
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