エルダー2025年6月号
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2025.64なお、60~64歳までに定年を選択した場合、再雇用で働くこともできます。すでに再雇用で働いている人にも正社員に戻るかどうか本人の意思を確認したところ、対象の全員が正社員に戻りました。また、役職者については、原則として60歳で役職を降りますが、部門によって後進が育っていない場合は役職の延長も可能です。管理職を降りてドライバーになると、その等級の給与になり、基本的に下がります。ただし、専門能力を発揮して活躍したいと思えば、給与が同じプロフェッショナル等級のP1、P2に移行することも可能ですが、その場合はP等級の要件の認定を受ける必要があります。―65歳定年後の雇用はどうなっていますか。篠崎 基本的に部門に必要とする仕事があり、本人が希望すれば、70歳までアルバイトとして雇用が継続されます。店舗の販売職などは時給制ですが、営業職や管理部門などは1年更新の契約社員として働いてもらっています。実際に人事部でも68歳の女性が働いていますし、65歳以降も働いている人が多くいます。現在は、雇用の年齢上限は70歳としていますが、みなさんお元気ですし、いずれは年齢上限を廃止する方向で検討していきたいと考えています。―働くシニア層が増えると、社員の健康管理も重要になります。また、介護などの家族の事情を抱えるシニアも増えてきます。篠崎 健康状態に応じて、短時間勤務や残業・休日勤務の免除などの制度を利用することができますし、体力などに応じて、例えば配送ドライバーから運転サポート業務に転換することも可能です。シニア社員に関して、特に注意する必要があるのが、ドライバーの運転能力の低下です。そこで、2024年度は、60歳以上のドライバーについては、NASVAの適性診断(独立行政法人自動車事故対策機構の適性診断測定システム)を実施しています。 また、家族の介護などの事情を抱える社員もいますが、当社はもともと個人の事情に即し柔軟に対応する風土と制度があります。例えば販売職では、いったん時給制のアルバイトで働き、その後に社員に戻る人も少なくありません。スタッフ部門では、在宅ワークと組み合わせながら仕事をしている人もいます。柔軟に働ける風土、これが当社の特徴でもあります。―高齢者雇用における今後の展望についてお聞かせください。篠崎 最終的には、年齢に関係なく活躍してもらうという観点から、雇用の年齢上限をなくすこと、そして評価制度などの精度を高めることで、適材適所の配置を進め、役職定年もなくしていく方向で検討していきたいと考えています。働き方についても、現在正社員の所定労働時間は1日8時間ですが、育児・介護に関係なく、例えば6時間でも正社員として働けるなど、より働きやすい環境にしていくための議論を進めていきたいと考えています。(インタビュー/溝上憲文 撮影/中岡泰博)健康管理の徹底と柔軟で多様な勤務制度で社員がより長く安心して働ける環境を整備株式会社カクヤスグループ 取締役兼CHRO篠崎淳一郎さん

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