2025.710みると、60歳から64歳までの「60歳台前半層」の就業状況の推移は2006年(52・6%)、2013年(58・9%)、2023年(74・0%)と右肩上がりの増加傾向にあり、そのなかでも2013年から2023年までの10年間の上がり方(58・9%→74・0%:15・1ポイントの増加)は、2006年から2013年の上がり方(52・6%→58・9%:6・3ポイントの増加)と比べ2倍以上で、65歳定年への定年年齢の引上げが多くの企業で進められているなかで、65歳まで働くことが一般的なキャリアになりつつあることがわかります。実質65歳定年を迎えた後の60歳台後半層(65~69歳)の3時点の就業状況の推移についても、60歳台前半層と同じ傾向(①右肩上がり増加傾向、②2006年から2013年の上がり方に比べた2013年から2023年までの上がり方が大きいこと)が確認されます。60歳台前半層の就業状況が増えているのは年金受給開始年齢の引上げがかかわっていますが、それだけではなくライフスタイルの変化もかかわっており、60歳台後半層の就業状況の推移――水準は60歳台前半層が低いものの、増加傾向にあること――がそれを物語っています。2023年現在、65歳以上の約4人に1人(25・2%)が、70歳以上は約5・4人に1人(18・4%)が働3年(2020年改正の「高年齢者就業確保措置の努力義務化」の施行)の3時点の高年齢者の雇用と就業の状況を整理したものです。まず企業の雇用状況を確認すると、高年齢者雇用確保措置を実施している企業(高年齢者雇用確保措置実施企業)の推移は2006年(84・0%)、2013年(92・8%)、2023年(99・9%)と右肩上がりの増加傾向にあります。そのなかでも2012年改正の「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」は実質65歳定年制に向けた転機となり、現在、ほとんどの企業で65歳まで働くことのできる環境が整備されている状況にあります。こうした動きにあわせて希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合(2006年:34・0%、2013年:62・4%、2023年:81・8%)も右肩上がりの拡大傾向にあり、2023年では8割を超える高い水準にあります。なお、今回のテーマである70歳以上まで働ける企業の割合は希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合に比べ低い水準(2006年:11・6%、2013年:16・7%、2023年:40・9%)にあるものの、70歳就業時代に向けて着実にその割合は増えており、2023年では約4割に達しています。次に高年齢者の状況を確認します。図表3を(注)「雇用状況」は51人以上規模企業。( )は31人以上規模企業、2023年は「51人以上の規模企業」の集計は行われていない出典:厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」、総務省統計局「労働力調査」をもとに筆者作成図表3 高年齢者の雇用状況と就業状況(単位:%)2006年 (平成18年)2013年 (平成25年)2023年 (令和5年)高齢法改正の主な内容2004年改正の「高年齢者雇用確保措置義務化」の施行2012年改正の「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」の施行2020年改正の「高年齢者就業確保措置の努力義務化」の施行)雇用状況高年齢者雇用確保措置実施企業(注)84.0 92.8(92.3)(99.9)希望者全員が65歳以上まで働ける企業34.0 62.4(66.5)(81.8)70歳以上まで働ける企業11.6 16.7(18.2)(40.9)就業状況60~64歳52.6 58.9 74.0 65~69歳34.6 38.7 52.0 65歳以上19.4 20.1 25.2 70歳以上13.3 13.1 18.4
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